江戸川を矢切の渡しで渡って
畑の中の道を岡のほうに向かって歩くと
伊藤左千夫の小説「野菊の墓」の
記念碑があります。
岡の上の西蓮寺の裏手にあります。
芝生を前にして大きな石の文学碑があります。
こじんまりと整理されていて傍らには
「野菊庵」という名の売店があります。
小説「野菊の墓」には
正夫が「民子さんはどう見ても野菊の風のようだ」
民子が「正夫さんはりんどうのようだ」
という記述がありますが、
民子が好きだった「野菊」とは
どのような花だったのでしょうか。
「野菊」という花は、山野に咲く数種の菊を
総称したものであり、「野菊」という名の花はありません。
関東近辺で一般に「野菊」と呼ばれる花は、
カントウヨメナ、ノコンギク、ユウガギクなどであり
いずれも白か青紫色で田のあぜや川べりに生える多年草です。
正夫が村のはずれの坂の降り口で
民子の来るのを待った大きな銀杏の木は
樹齢600年でこの寺の入り口にありました。
数年前に切られましたが、その一部がここにあります。