■2012年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

今月の潮流●カリフォルニア州GM食品表示法案住民投票


 11月6日に行われた米国大統領選挙では、民主党の現職オバマ大統領が再選を果たしたが、この日、もう一つ大事な選挙があった。それがカリフォルニア州で行われた「GM食品表示法案(プロポシション37)」の是非を問う住民投票である。
 9月27日付ロサンゼルス・タイムズで報道された世論調査では、法案支持61%、不支持25%、態度保留14%だった(前号参照)。しかし、食品会社やGMO開発企業らが4600万ドルという巨費を投じてテレビCM攻勢をかけた結果、表示反対が増え続け、Ventura County Starが10月11日に発表した調査結果では、支持率が48.3%まで後退した。さらに10月25日付ロサンゼルス・タイムズでは、支持44%、不支持42%、態度保留14%となった。  〔Los Angeles Times 2012/10/25ほか〕

 しかし、市民側も手をこまぬいてはいない。成果の一つが、この選挙期間中、カリフォルニア州ロサンゼルス市議会が全会一致で法案支持を可決していることに現れている。〔Examiner 2012/10/24〕

 法案反対のCM攻勢では、政治利用を禁止するスタンフォード大学の倫理違反を犯すなど、企業側の勇み足も見られた。CMに同大学フーヴァー研究所のヘンリー・ミラーを登場させたが、これが政治目的で大学名を用いることを禁じた同校の倫理規定に違反した。このテレビCMは放映中止となった。〔California Right to Know 2012/10/5〕
 最終的にGM食品表示法案は、支持46.9%、反対53.1%で否決された。この結果について、法案支持を呼びかけてきた団体「正しい表示」代表ゲーリー・ヒルシュベルクは、「驚くべき金と嘘の勝利」と述べた。〔GM Watch 2012/11/7〕

 選挙結果を受けても、一度始まった表示を求める運動は止まることはなさそうである。すでにワシントン州でも、GM食品表示を求める住民発議の取り組みが始まった。今年初め、同州議会がGM食品表示法案を否決したため、カリフォルニア州同様の住民投票にかけようというもの。そのためには、25万以上の署名を集める必要がある。〔Feedstuffs 2012/10/3〕