■2012年12月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●GM汚染
●GMナタネ汚染が拡大するスイス

 GMナタネの輸入・栽培が認可されていないスイスで、GMナタネ自生がまたも確認された(本誌2012年8月号参照)。スイスおよびリヒテンシュタイン公国の79地点2403サンプルを調査したところ、鉄道沿いの58地点で野生化したGMナタネが見つかった。貨物船から列車への積み換えや、輸送中の積み荷から種子がこぼれて、自然交配などが起きたものと推定される。線路は農村地帯を走っており、周辺には近縁種が多数生育しているので、汚染を阻止するのは難しいだろう、と研究者は述べている。 〔Environmental Sciences Europe 2012/9/11〕

●食用ホワイトコーンにGMO由来遺伝子見つかる

 環境保護団体グリーンピースの調査で、食用のホワイトコーンからGMトウモロコシ由来の遺伝子が見つかった。栽培していたのはフィリピンビサヤン諸島とミンダナオ島で、GMホワイトコーンは開発されていないため、飼料用Btトウモロコシとの交雑が混入をもたらしたものと思われる。 〔Philippine Star 2012/10/30〕

●北米事情
●モンサント社の特許裁判、米最高裁が農家の控訴認める

 モンサント社の特許侵害か否かをめぐる裁判で、米国最高裁判所が、インディアナ州の農家の控訴を認め審議が始まることになった(本誌2011年12月号参照)。大豆農家ヴァーノン・ボウマンは、GM大豆の特許を侵害したとしてモンサント社に訴えられ、8万4456ドルの損害賠償金の支払いを命じる判決を受け、控訴していた。農家は市販の種子を購入し、グリホサートを散布して、除草剤にやられなかった種子を保管しておき、翌年蒔いた。生き残った種子はグリホサートに耐性があった。この場合、種子はモンサント社から直接買ったものではなく、穀物倉庫に貯蔵されていたものなので、モンサント社のライセンス契約はおよばない、と農家は主張している。最高裁での裁判は来年1月に予定されている。〔NYULOcal 2012/10/9〕

●カナダBC州でGM果実禁止法制定に動く

 カナダ、米国に認可申請が出されているGMリンゴについて、カナダのブリティッシュコロンビア州では、GM果実の輸入・栽培を禁止する法律を成立させる動きが顕在化している。現在、同州の市民団体が議会に働きかけている。 〔CHBC News 2012/10/3〕

●中南米事情
●ブラジル裁判所がモンサント社に特許料請求停止命令

 ブラジル最大の大豆生産地であるマト・グロッソ州の裁判所が、モンサント社に対して、GM大豆およびGM綿種子の特許料請求を停止するよう命じた。ブラジルにおけるモンサント社の特許は2010年に失効しており、更新されていない、というのがその理由である。〔Reuters 2012/10/8〕

●メキシコで反GMOキャンペーン始まる

 10月16日、メキシコの環境保護団体グリーンピースは、申請が出されたGM作物の商業栽培阻止のために反GMOキャンペーンを開始した。まず、取り消しを求める署名を集め、大統領に提出するという。〔Latinamerican Press 2012/10/29〕

●オセアニア事情
●問題あるタンパク質フリーのGMクローン牛

 ニュージーランド国営機関が開発したアレルゲンのほとんどない牛乳を出すGMクローン牛について、研究・開発を中止するよう市民団体が政府に要請している。このGM牛は、国営研究機関アグリサーチ研究所が開発し、ベータラクトグロブリンというタンパク質をほとんど含まない牛乳を生産する。牛乳のタンパク質にアレルギーを持つ人でも、この牛乳ならば飲めるという。市民団体は、このタンパク質はホエー(乳漿)の一部であり、ビタミンの吸収や、消化、免疫機構を健全に維持するために重要な上、牛乳のタンパク質にアレルギーがある3%の人のなかで、ベータラクトグロブリンにアレルギーがある人は0.1%程度に過ぎない。牛乳アレルギーでもっとも多いのはカゼインというタンパク質だが、このGM牛の牛乳では、カゼイン含有量が倍になっている、と指摘している。 〔The Guardian 2012/10/1〕

●欧州事情
●スペインのGMトウモロコシ作付け、全米を超える州も

 スペイン・カタルーニャ州のGMトウモロコシの作付け割合が、米国の作付け割合を超えた。スペインでは、GMトウモロコシの作付けが前年より19.5%増え、全トウモロコシ畑の約30%にまで拡大した。カタルーニャ州だけを見ると作付け割合は90%を超え、全米平均88%を超えている。GMトウモロコシはすべて、モンサント社の「MON810」である。 〔Agrimoney 2012/10/9〕

●カザフスタンGMトウモロコシ「NK603」禁止に

 カザフスタン政府が、モンサント社の除草剤耐性トウモロコシ「NK603」の輸入、栽培、使用、販売を禁止した。このGMトウモロコシは、フランス・カーン大学の動物実験に用いられた品種で、その結果を受けたものと思われる。厚生大臣が署名し、正式に禁止になった。〔Tengri News 2012/10/29〕

●アフリカ事情
●モザンビークが中国からGM綿導入か

 モザンビークが、中国からGM綿を導入する可能性が出てきた。11月にモザンビーク綿研究所とモザンビーク農業研究所の専門家らの代表団が、GM綿導入を目的に、中国での交渉に臨むことになった。〔Club of Mozambique 2012/10/9〕