■2013年6月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●欧州事情
●欧州委員会のGM大豆認可は無効、欧州司法裁判所へ提訴

 ヨーロッパの環境保護団体や科学者団体などで構成される原告団が、欧州委員会のGM大豆認可を無効だとして欧州司法裁判所に訴えた。このGM大豆は、殺虫成分と除草剤耐性の2つの性質を持ち、「Intacta」の名称でおもにブラジルで栽培され、食品や飼料用としてEUへ輸入されることになる。欧州委員会は2012年6月に、このGM大豆の食品および飼料としての使用を認可したが、同年8月に5つの団体が欧州委員会に対して、決定への不服を申し立てた。2013年1月に欧州委員会が訴えを却下したため、5団体のうちの3団体が欧州裁判所に提訴した。原告は、欧州食品安全庁(EFSA)が法律で定められたリスク・アセスメントを実施していない以上、欧州委員会のGM大豆認可は誤りである、と訴えている。〔Test biotech 2013/3/21〕

●イタリアがGMトウモロコシ認可延長認めず

 イタリア政府は欧州委員会に対して、モンサントのGMトウモロコシ「MON810」の認可を更新しないよう求めた。「MON810」はEUで現在2種類だけ栽培が認められているGM品種のうちの1つ(もう1つはBASF社のGMジャガイモ「アムフローラ」)だが、EU加盟諸国の反対や抵抗のため、現在、認可の更新が保留になっている。EUではオーストリア、ブルガリア、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、ルクセンブルク、ポーランドの8カ国が、自国内でのGM作物栽培を禁じている。EUは1998年に「MON810」の10年間の栽培を許可し、2007年にモンサントが延長を申請したが、審議は事実上凍結された状態。〔Phys.org 2013/4/4〕


●アフリカ事情
●未承認GMトウモロコシ、南アフリカから流出

 アフリカ・バイオセーフティ・センターやETCグループなどの市民団体は共同で、南アフリカで栽培された未承認GMトウモロコシが、ジンバブエとメキシコに輸出されていると発表した。影響はジンバブエにとどまらず、スワジランド、モザンビーク、ケニヤ、ソマリアなどの南部アフリカ諸国へ拡散し、作付けが広がる危険性があると指摘した。メキシコはトウモロコシの原生地であり、生物多様性への影響が懸念されると指摘した。〔African Centre for Biosafetyほか 2013/4/15〕


●南米事情
●ブラジルで耐性害虫によるBt作物の被害拡大

 ブラジルのBtトウモロコシ畑で、殺虫毒素で死なない耐性害虫が増え、被害が拡大している。被害が拡大しているのは首都ブラジリア周辺の特別行政区とパラナ州で、被害がみられるのは「Herculex」という名前で販売されているBtトウモロコシ。〔Stop the Crop 2013/4/3〕

●オセアニア事情
●豪州からインドへGM技術輸出

 オーストラリアの科学者が開発したGMバナナが、インドに技術輸出される。このGMバナナは、クイーンズランド工科大学が開発した、ビタミンと鉄分を増やしたもの。2012年8月にインド政府と契約が成立していた。インドは世界最大のバナナ生産国であり、そのほとんどが国内で消費されている。〔Deccan Herald India 2013/4/22〕


●GM汚染
●トルコへの輸入米からGMO検出

 4月初旬、トルコ南部のメルシンで、輸入米約2万3000トンが税関及び通産省によって押収された。輸出業者の米国企業と輸入業者のトルコ企業の関係者が、バイオテロリズムと密輸の容疑で逮捕された。輸入米は、穀物メジャーの米アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド社と蘭ブンゲ社によって米国から輸入されたもので、未承認のGM稲「LL601」と「Bt63」が検出されたことが、イスタンブール工科大学の分析で明らかになった。この事態に対して、トルコ政府農相メフディ・エケルは「GM稲は存在しない」と述べ、通商相のハヤティ・ヤズズは「世界中どこにもGM稲は栽培されていない」と述べるにとどまっている。〔Ayse Bereket 2013/5/3〕



●GMO承認情報
表2 GM作物野外栽培承認(第1種使用規定)一覧

生物多様性影響評価検討会総合検討会
作物 性質 申請(開発者) 名称 認可日*
ダイズ 低飽和脂肪酸・高オレイン酸及び除草剤グリホサート耐性ダイズ 日本モンサント株式会社 MON87705×MON89788, OECD UI:MON-87705-6×MON89788-1 2013年3月26日
トウモロコシ チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ シンジェンタジャパン株式会社 Bt11×MIR162×MIR604×B.t. Cry1F maize line 1507×Event 5307×GA21, OECD UI:SYN-BT011-1×SYN-IR162-4×SYN-IR604-5×DAS-01507-1×SYN-05307-1×MON-00021-9 2013年3月26日
トウモロコシ チョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ ジェンタジャパン株式会社 Bt11×MIR604×B.t. Cry1F maize line 1507×Event 5307×GA21, OECD UI: SYN-BT011-1×SYN-IR604-5×DAS-01507-1×SYN-05307-1×MON-00021-9 2013年3月26日
ワタ 除草剤グリホサート及びグルホシネート耐性並びにチョウ目害虫抵抗性ワタ バイエルクロップサイエンス株式会社 GHB614×T304-40×GHB119, OECD UI:BCS-GH002-5×BCS-GH004-7×BCS-GH005-8 2013年3月26日
ワタ チョウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性ワタズ ダウ・ケミカル日本株式会社 281×3006×COT102×MON88913, OECD UI:DAS-24236-5×DAS-21023-5×SYN-IR102-7×MON-88913-8 2013年3月26日

*正式にはパブリックコメントの後に認可される。