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ニュース
●欧州事情
●EU、グリホサート再承認に転じる
11月9日、EUはグリホサートの再承認を再び否決した。しかし、11月27日に行われた今年3回目の投票で、前回棄権したドイツなどが賛成に回り、期間を5年に短縮してグリホサートの再承認が可決された。ドイツの変節の背景には、メルケル政権の不安定さがあった。農業大臣と環境大臣が対立、農業大臣が支持に回ったのである。前回賛成の国はそのまま賛成、反対国に変化はなく、ドイツ、ブルガリア、ポーランド、ルーマニアの4か国が棄権から賛成に回った。結局、今回棄権したのはポルトガルだけである。グリホサートの命脈はかろうじて延びたが、次回再承認されることはないだろうとみられている。
再延長は可決されたが、まだいくつかのハードルがある。10月23日に欧州委員会に提出された市民からの署名に対して、委員会は正式な回答をしなければならない。さらに、欧州議会の緑の党と欧州自由連合は共同で、議会の過半数の支持を集め、欧州司法裁判所に更新の無効を求める訴えを起こそうとしている。ベルギーの国際弁護士オリバー・ド・シュッターは、今回の欧州委員会の決定は発癌物質の使用を認めたものであり、EUが定めた委員会履行規則に違反すると述べているが、緑の党などもこういったことを根拠としている。〔Greens/EFA Website 2017/12/7〕
再延長に賛成 チェコ、デンマーク、エストニア、アイルランド、スペイン、ラトビア、リトアニア、フィンランド、ハンガリー、オランダ、スロベニア、スロバキア、スウェーデン、英国、ブルガリア、ドイツ、ポーランド、ルーマニア
再延長に反対 オーストリア、ベルギー、ギリシャ、クロアチア、キプロス、フランス、イタリア、ルクセンブルク、マルタ
棄権 ポルトガル
●オーストリアがグリホサート禁止へ
オーストリアで連立政権樹立予定のオーストリア人民党とオーストリア自由党が、共同でグリホサート禁止を宣言した。首相候補のセバスティアン・クルツも、廃止を望むと述べている。イタリア、フランスに続き、同国が全土で禁止するのは確実となった。〔NEWS ORF.at 2017/12/13〕
●ドイツの食品連盟がゲノム編集食品に表示求める
ドイツのGMOフリー食品を製造している遺伝子組み換え技術を使用しない食品連盟(VLOG)がゲノム編集技術応用食品への表示を求めている。連盟は「ゲノム編集技術は遺伝子操作を行なったものであり、GMO同様に表示すべきで、もし表示を行わなければ、業界の透明性と消費者の知る権利を奪うことになる」と述べている。連盟はGMOフリーの表示を進めているが、この表示をしているGM飼料を使用しない乳製品や卵、肉などの食品は、この12か月で45%増加したという。〔GM
Watch 2017/11/30〕
●北米事情
●ミズーリ州も来夏にはジカンバ使用禁止へ
アーカンソー州に続きミズーリ州もまた、来年度のジカンバ規制を打ち出した。認定を受けた農家のみがジカンバ耐性大豆や綿を栽培できる。また、2018年6月1日以降、南東部の指定地域でのジカンバ使用は禁止となり、7月15日以降はすべての地域が対象となる。〔CropLife 2017/11/20〕
●アーカンソー州で2,4-D耐性綿栽培か
アーカンソー州ではジカンバ耐性作物に代わり、2,4-D耐性作物が栽培される可能性が出てきた。同州の植物委員会が11月22日、ダウ・アグロサイエンス社の2,4-D耐性綿の栽培を認めたからである。ジカンバも2,4-Dも、いずれも戦争で枯葉剤として使用された除草剤である。〔Arkansas Online 2017/11/22〕
モンサント社はアーカンソー州プラスキ郡裁判所に、同州でのジカンバ使用規制差し止めを求めて提訴した。さらに同社は、ジカンバを使用する農家に対して除草剤購入費用の支援を開始した。その費用は1エーカー当たり6ドルだという。モンサント社は2018年、米国内でのジカンバ耐性大豆の作付面積は倍増すると見ている。〔Reuters 2017/12/6ほか〕
●メキシコでGM大豆認可取り消し
メキシコの農業衛生局(SENASICA)は、国内のベラクルスやユカタンなど7州でのGM大豆の商業栽培の認可を取り消した。理由は、未承認地域でGM大豆が検出されたことによる。それに対してモンサント社は、不当だと批判する声明を発表した。〔Reuters 2017/11/24〕
●米国農務省に絶滅寸前の蝶の保全求める
米国の生物多様性センターなど101の団体が、絶滅寸前に陥っているオオカバマダラ蝶の保護を求めて、農務省と自然資源保全局に対して予算の増額を求めた。この蝶は米国では国蝶に匹敵するほど大切にされてきたが、GM作物栽培により8割が減少し、このままだと20年以内に絶滅する可能性が60%近いと考えられている。原因は除草剤グリホサートの使用により、蝶の幼虫が好んで食べるトウワタが失われたことによる。〔Center for Biological Diversity 2017/11/30〕
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