■2021年10月号

今月の潮流
News
News2


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る





























バイオジャーナル

ニュース


●省庁動向
●厚労省、ゲノム編集マダイの販売を了承
 厚労省は9月17日、ゲノム編集で遺伝子操作したマダイの届け出を受理した。これによりトマト同様市販が可能になる。ゲノム編集技術でミオスタチンという筋肉の発達を制御している遺伝子を破壊して、肉厚にしたマダイである。この魚を開発したのは京都大学の木下政人准教授と近畿大学の家戸敬太郎教授で、二人は共同でベンチャー企業リージョナルフィッシュ社を立ち上げており、同社が養殖・販売を行う。 魚の開発は他にも、佐賀県唐津市にある九州大学の養殖場で大賀浩史助教が養殖しやすいマサバを誕生させ、長崎市にある国立の研究機関の養殖場では、樋口健太郎研究員らが同じく養殖しやすいマグロを誕生させている。

●欧州事情
●英国でGM小麦の試験栽培開始へ
 英国でGM小麦の栽培が承認され、ローザムステッド研究所で試験栽培が始まる。この小麦はアクリルアミドを低減させ、パンが焦げてもがんを引き起こさないことを目的にしている。しかし、英国がん研究所(CRUK)は、パンは焦げても発がん物質は生じないと指摘している。〔GM Watch 2021/9/2〕
●欧州でGMO規制緩和の動き
 欧州委員会は、ゲノム編集などの新遺伝子操作生物の規制を定めるに当たって、従来のGMOの規制を4年以内に変更し、さらに10年以内にはGMO全体の規制を取り払う方向を目指すという報告をまとめた。報告をまとめたのは欧州委員会健康局DG-SANTEで、ゲノム編集作物を規制しない方向で動いている他の先進国の趨勢に合わせるのが目的と思われる。〔GM Watch 2021/9/6〕

●英国のゲノム編集作物の扱い、規制しない方向に
 英国でゲノム編集技術応用作物など、新遺伝子操作生物の規制に関する検討が新たな段階に入ったと、BBCが伝えた。それによると、新GMOに関しては規制をほとんど行わない方向で検討しているという。政府への勧告を行なう独立機関Regulatory Horizon Councilにより、現在検討が加えられている。〔BBC Sounds 2021/9/6〕

●ゲノム編集トマトを英国の市民団体が批判
 英国の市民団体GM Watchが、日本で販売が始まったゲノム編集トマトについて、食品としての安全性評価もなく商業化が承認されたことを批判したうえで、このトマトを「白い象」と表現した。白い象とは、インド、スリランカ、タイやミャンマーなどで神聖視されているが、国王が臣下へ、嫌がらせや破産させるのを目的に贈るという。そこから不必要で厄介なものという意味で使われている。市民団体が特に問題としているのが、健康に良いとしている点への疑義と、価格が高い点である。健康になるために高GABAトマトを食べる必要などない。健康になるには、適度な運動とストレスのない生活を送ることが大切で、もしGABAを多くとりたいのであれば、GABAの多い自然の食品や、体の中でGABAの産生をサポートする食品を食べればいいだけだ、と指摘している。その食品にはチーズと肉、豆、卵、キノコ、ブロッコリー、クルミ、ある種のハーブなどがある。〔GM Watch 2021/9/21〕