■2024年3月号

今月の潮流
News
News2


今号の目次へ戻る
ジャーナル目次へ戻る






























バイオジャーナル

ニュース


●ゲノム編集
●ゲノム編集ナタネの環境への影響は大きい

 ゲノム編集ナタネなどの油糧種子作物の遺伝子操作がもたらす環境への影響は少なくない、とする論文が発表された。これはテストバイオテクの研究者らによるもので、多価不飽和脂肪酸の含有量を増減すると、その植物を餌とする花粉媒介者に悪影響をもたらす可能性があるとしている。また、さまざまなNGTs植物が農業に導入されると、一度に多種類の花粉の飛散が起き、それが農作物同士や野生植物と交雑を起こし、環境中に思いがけない形で拡大し、人へのリスクや生物多様性への影響が予測不可能になる、と指摘している。〔Preprints.org 2024/2/6〕

●ゲノム編集ポプラ導入の危険性

 NGTsで開発されたポプラの導入は生物多様性に大きな影響を与える、とテストバイオテクが警告した。なぜならNGTsがポプラの木の特性を大きく変えるからである。自然界でのポプラの木は7〜10年かけて花を咲かせるが、ゲノム編集ではわずか4か月で開花をもたらす。この開花の促進は、ゲノム編集ポプラの導入を加速させる可能性がある。樹木は、他の植物、土壌菌など野生生物と相互作用を持っており、カブトムシや蝶、ミツバチといった昆虫の重要な食料源になっており影響が大きい、としている。〔Testbiotech 2024/1/22〕
●省庁動向
●農水省がゲノム編集企業などへ補助金交付

 農水省は12月28日、「中小企業イノベーション創出事業」第1回公募111件の中から、フードテックやゲノム編集食品の開発に取り組む企業25件に対して補助金を交付した。交付されたのは、微生物タンパクを原料にした食品の開発などに取り組むCO2資源化研究所、ゲノム編集魚の開発に取り組むリージョナルフィッシュ社、ゲノム編集技術で低アレルゲン卵に取り組むプラチナバイオ社、培養肉の開発に取り組むインテグリカルチャー社などで、最も補助金が多かったのがリージョナルフィッシュ社だった。

●厚労省が培養肉のガイダンス作成へ

 2月8日、厚労省の新開発食品調査部会は培養肉に関する意見を集約し、今後の方針をまとめた。それによると、培養肉の推進を前提にガイダンスをまとめることになった。ガイダンスでは、@培養肉に特有の問題点をまとめ、対応が必要かどうかを検討していく。対応が必要な点は、使用する細胞の種類や状態、培養中の細胞の物理的・化学的変化の有無、培養中の化学物質等の発生や残留の有無、である。これに加えて、A既存の食品でも考慮されるアレルゲンなどの問題点をまとめ、既存の食品と同じ考え方ができるかどうかを検討してまとめていくことになった。