■2004年5月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●遺伝子組み換え作物
英国がGM作物商業栽培を承認

 3月9日、英国環境大臣マーガレット・ベケットが政府のGM政策を発表し、イングランドでのGM作物の商業栽培を初めて認可した。認められた作物は、バイエル・クロップサイエンス社の除草剤(バスタ) 耐性トウモロコシ「Chardon LL」。除草剤耐性トウモロコシと、除草剤アトラジンを用いた通常の農業 では、後者の方が野生生物に悪い影響があると報告を受けて決定された。許可は期限付きで、栽培にあたってはEUの許可条件の修正がなされなければならない。さらに一般的に用いられている除草剤アトラ ジンの使用が2006年に禁止されるため、別の農薬によって野生生物への影響を評価する必要がある。ま た、GM汚染が起きた際の補償システムの確立も必要になる。 〔ガーディアン2004/3/10〕

豪州政府がGMナタネの野外実験承認

 3月18日、オーストラリア、ニューサウス・ウェールズ州のGM諮問委員会が、モンサント社とバイエ ル・ロップサイエンス社が申請した3500haに達する大規模なGMナタネ(カノーラ)の野外での実験を承 認した。
 同州のイアン・マクドナルド農務大臣は、州内では一切の食用GM作物の商業栽培を認めないと発言し
たが、栽培実験で汚染が起きた際の責任問題にはふれなかった。これでは非GM農家、有機農家が被害を 受けても、誰が責任をとるのか、と同諮問委員会のメンバーで自然保護団体の代表Jo Imningは批判し た。
 その後州政府は、オーストラリア小麦局が3月29日に商業栽培に匹敵するほど大規模な実験に反対す る姿勢を明らかにしたのを受けて、諮問委員会の決定を覆し、420haでの3つの野外実験に承認の内容を 変更した。今後、商業栽培に進む可能性が低くなったことから、モンサント社とバイエル・クロップサ イエンス社は州政府の決定を批判している。 〔The Sydney Herald 2004/3/19ほか〕

アルゼンチンでの種子販売中止

 1月19日、モンサント社は、アルゼンチンにおけるGM大豆種子の販売を一時中止すると発表した。経済破綻したアルゼンチンは世界最大の債務国であるため、種子代が回収できない状況に業を煮やしたものと思われる。同国では、すでに全大豆畑が同社の大豆となっており、栽培面積も拡大している。販売中止の理由には、大豆種子の半分が自家採種され闇ルートで流れたものであることも関係している。 〔ロイター 2004/1/18〕

続くアフリカ諸国のGM拒否

 3月17日、アンゴラ政府は遺伝子組み換え作物・種子の輸入を禁止した。世界食糧計画(WFP)によると、アンゴラへの食糧援助の77%を米国産が占めており、高い割合でGM作物が混入している。スーダン政府もまた、WFPに対して「GMフリー」の証明を求めた。そのためWFPに食糧を提供している米国国際開発庁(USAID)は、援助をストップした。これまでアフリカでは、ジンバブエ、モザンビークなどがGM汚染を恐れて食糧援助を拒否してきたが、妥協策として製粉化した穀物を受け入れた経緯がある。 〔ニューヨーク・タイムズ 2004/3/30など〕



●遺伝子組み換え樹木
日本製紙がGMユーカリ圃場試験へ

日本製紙は、環境ストレス抵抗性ユーカリの栽培実験を国内で行うことを明らかにした。日本初のGM樹木栽培実験となる。樹木は作物と異なり、長期間、ときには数百年、数千年にわたって生育し花粉を放出しつづけるため、環境へのリスクは大きくなる。実験承認の条件が注目される。 〔日経バイオテク 2004/3/29〕