■2005年5月号

今月の潮流
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今月のできごと


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バイオジャーナル

ニュース


●南米事情
ブラジルの旱ばつでGM大豆の被害深刻

  春の収穫期を迎え、大豆生産地のブラジル南部、リオ・グランデ・ド・スール州では旱魃の被害が深刻な事態となっている。被害は非GMに比べてGM大豆の方が大きく、全栽培大豆面積の80%をモンサント社のGM大豆が占めているため、平均61%もの減収が予測されている。非GM大豆はわずかの減収にとどまっている。〔soyatech.com 2005/4/4〕

●アジア事情
中国でGM食品を拒否する消費者増加

 中国ではGMイネの栽培認可が焦点になっているが、中国の消費者の間では懸念が強まっているようだ。市場調査会社Ipsosが行った北京・上海・広州の3都市での調査では、非GM食品を選択すると答えた消費者が増えていた。GM食品について知っている人は62%(昨年は52%)、非GM食品を選ぶ人は57%(同40%)、GM食品を選ぶと答えた人は16%(同35%)だった。〔Greenpeace China 2005/3/14〕


●クローン
クローン人間禁止宣言、米国は支持、日本は反対


 3月8日国連総会は、クローン人間の作成を禁止する宣言を賛成84、反対34、棄権37で採択した。クローン技術を用いて人間を誕生させることの禁止に関しては、各国とも合意していたが、米国などの強い要請でクローン胚の作成も禁止としたため、日本は反対に回った。宣言は法的拘束力がないため、研究・開発に影響は出ないとする立場を日本はとっている。


●ゲノム
個人遺伝情報保護の法的規制は見送り

 2005年4月1日の個人情報保護法の全面施行にともなう「個人遺伝情報の取り扱い」について、個別法は作らず、ヒトゲノム倫理指針の見直しのみとなった。2004年8月から厚労、文科、経産の3省が合同会合で議論してきたが、法制化については多くの委員が「研究にブレーキをかける」などの理由から反対していた。多くの問題を抱えている遺伝子バンクにおける個人情報の取り扱いは、ほとんど議論されないまま法規制の対象外となった。結局、個人遺伝情報の保護よりも研究の推進が優先されたことになる。


●遺伝子治療
遺伝子治療の副作用であらたに白血病患者発生


 フランスで実施されたX連鎖性複合免疫不全症(X-SCID)に対する遺伝子治療の副作用によって、2002年の2件に続いて2005年1月、あらたな白血病患者の発生が報告された。レトロウイルスベクターの発がん性は以前から指摘されていたが、これで11件中3件の患者が白血病に罹ったことになる。フランスではX-SCID遺伝子治療は中止されたが、その他のレトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療は継続中である。日本でもX-SCID遺伝子治療を東北大学が5人の患者に予定しているが、現在は保留中となっている。その他のレトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療については、北海道大学病院など3施設で実施されている。


●政府動向
GM食品添加物の安全審査で緩和案

 これまでGM微生物を用いてつくられている食品添加物に関しては、添加物独自の「安全性評価指針」に基づき認可されてきた。今回、最終製品が高度に精製されたタンパク質以外の食品添加物に関して、条件の緩和が食品安全委員会で了承された。対象はアミノ酸、ビタミン、糖類などで、非有効成分が増えておらず、有害性が示唆されるような非有効成分を含んでいなければ、安全性は確認されたことになる。


●遺伝子組み換えイネ
中国で不法に遺伝子組み換えイネが流通


 4月13日、グリーンピース・インターナショナルは北京で記者会見を開き、中国で未承認の遺伝子組み換え(GM)イネが栽培され、流通し、日本など外国に輸出されていた可能性があることを発表した。グリーンピースは中国政府に対して、ただちにこの未承認GMイネを回収し、汚染の原因を調査するように求めた。
 発表によると、グリーンピース調査団が、湖北省で未承認GMイネを発見。種子の販売者、生産者から聞き取り調査を行ったところ、過去2年間にわたって種子が販売されていることがわかった。分析により、Bt(殺虫毒素産生)イネであることが判明した。(詳細は次号)