スーパーロボッコ大戦
EP7



 朝日が差し込む攻龍の甲板を、トレーニングウェア姿の瑛花がジョギングしていた。

「はっ、はっ……」

 どれ程走りこんだのか、額に大粒の汗が浮かび、それでも普段の鍛錬から呼吸は一定を保たせて走りこむ瑛花だったが、ふと上を見上げて眉根を寄せる。

「今度はあそこか………」
「ZZZ……」

 攻龍の主砲の上にまたがり、幸せそうな顔で眠っているルッキーニの姿にあえてそれ以上の事を考えないようにして瑛花はジョギングを続ける。

「あら、早いわね」
「あ、ヴィルケ中佐」
「ミーナでいいわよ。他の人達はまだ寝てるみたいだけど」

 ハッチを開けて姿を現したミーナの姿に、瑛花は足を止めて首に巻いていたタオルで汗を拭う。

「中佐こそ早いですね」
「目がさえちゃって。色々あったから」
「そうですね………」

 そこで両者はここ数日で起きた色々な事に思いをはせ、思わずため息が漏れる。

「ねえ、あなたこの後どうなると思う?」
「さあ………私は軍人としての職務をまっとうする、それだけです」
「職務をまっとう、ね。私はどうすればまっとうできるのかしら………501の仲間も半分もいない、ネウロイの姿も無い。けれど、敵はいっぱいいるしね」
「……今Gで戻る方法を探してるって亜乃亜が言ってました。他の人達もきっと見つかりますよ」
「そうね……そう思う事にするわ」
「ふにゃあああああ……」

 ミーナがそう言った所で、上の方から能天気なあくびが響き、二人が思わずそちらを見るとルッキーニが大きく伸びをしていた。

「あらあら、ルッキーニさんはやっぱり外の方がいいのかしら?」
「彼女普段からああなんですか?」
「ええ。どこでも寝れるのはある意味たのもしいわね」
「う〜ん………」

 やはりウイッチは自分達とどこか違うんだろうか? という疑問は瑛花の中では解けそうにない。

「それにしても、美緒や他の人達はどこにいるのかしら………」



AD2300 ネオ東京 私立白丘台女子高等学校・裏山

「うわあ……」
「すごい………」

 自分達の目の前にある宇宙船の姿に、ウイッチ達は絶句するしかなかった。

「これはすごい……カールスランドでもまだ宇宙用ロケットなぞ完成していないというのに」
「正確にはこれはスペースクルーザーよ。それじゃあ早く乗って」

 バルクホルンですら感心する中、ポリリーナがてきぱきと発進準備を進めていく。

「でもなんで学校の裏山にあるんですか?」
「未来じゃそれが普通なんじゃない?」
「普通じゃないんだけど………」

 リーネの率直な問いにエーリカが適当に応えるのを、ユナが返答に困り果てる。

「航路確定。目的は衛星軌道、永遠のプリンセス号」
「医療品はこれで全部ですか? え〜とこれは説明書かな?」
「後にしてください。来れる人達は大体来ましたか?」

 エルナーがブリッジでコンソールを遠隔操作する中、芳佳は運び込まれた医療品を開封しようとしてたしなめられていた。

「エリカさん達は別の船で荷物を受け取ってから来るそうですわ」
「食べ物い〜っぱい積んだですぅ♪」
「何だこのお菓子の山は!」
「ちょっと減らしとく?」
「ユーリィの勝手に食べちゃダメです〜!」
「緊張感の無い人達ですね………」

 エルナーが呆れるが、そこで外部からの通信が届く。

『こちらエグゼリカ! 私も乗ります!』
「あれ? 確か自前の艦で行くって言ってませんでした?」
『それが、姉さんが乗ってちゃって………あと、私達の支援艦 《カルナダイン》が転移反応の位置をほぼ特定、姉さんとそこに向かったそうです』
「それって!」
「誰かがそこにいるんですね!?」
『ウイッチの人かどうかまでは……』

 通信を聞きつけた芳佳とリーネが思わず詰め寄るが、エグゼリカは確証がないので言葉を濁す。

「それは何よりです。詳しい話は上で聞きましょう。乗ってください!」
「ユナさ〜〜〜ん、遅れました〜〜〜〜」
「ちょっと、私を置いてくつもりじゃないでしょうね!」
「なあなあ、あの派手な戦闘、やっぱあんたらか?」
「お店臨時休店にしてきたネ!」
「さあ行きますわよ!」

 元暗黒お嬢様13人衆を名乗っていたユナの仲間達もぞくぞくと乗り込み、シートに腰掛けていく。

「そう言えば、艦名をまだ聞いてなかったな」
「前のクルーザーの大規模改造版だから、決まってないのよ。誰か決める?」
「う〜ん、芳佳ちゃんは何かある?」
「え? え? 急に言われても………」
「前はなんて名前だったんですか?」
「エレメント・フェアリィ号だったんだけど、亜弥乎ちゃん元気でやってるから、別のにしたいな〜って」
「よし、アイゼン・ヘクサ号で!」
「ドイツ語で鉄の魔女ですか、それはちょっと………」
「ならばブループルミエで」
「それはペリーヌの通り名じゃん………」
「エイピッタン号で!」
「誰かもうちょっとマトモなのありません?」

「それじゃあ、皆さんの総称で可憐な戦乙女プリティー・バルキリーというのは?」

 エグゼリカの提案に、全員が互いの顔を見ると、手を一つ叩く。

「それじゃあ、プリティー・バルキリー号、発進!」

 ポリリーナが操縦桿を握り締め、ペダルを踏み込む。
 数多の戦乙女達を乗せ、プリティー・バルキリー号は天へと舞い上がっていた。

「思っていたよりもGがきつくないな」
「Gイレーサーが効いてるからね。今じゃそれが常識よ」
「前に成層圏のネウロイを攻撃した時は、501総員掛りで二人を上げるのが精一杯だったからな」
「生身で行ったの………」

 バルクホルンの言葉にポリリーナが呆れた所で、艦体は成層圏を離れ、窓から青い地球の姿が映し出される。

「うわあ、すごい………前はここまで見れなかったんだ………」
「きれい………これが地球………」
「ガリアは、あそこらでしょうか………」
「トゥルーデ、すごいよ!」
「軍人たる物、少しは落ち着け!」

 見た事もない光景にウイッチ達がはしゃくが、バルクホルンも口ではどうこう言いながらも窓へと近寄っていく。
 だがそこで、別の窓から何かが見えた気がしてそちらに振り向き、見えた物に絶句する。

「なな、なんだあれは!?」
『え?』

 バルクホルンの驚愕の声にウイッチ達が一斉に振り向き、反対側の窓いっぱいに広がろうという、とんでもなく巨大な宇宙戦艦が目に飛び込んでくる。

「すごい、大和より大きい………」
「あ、あれ戦艦なんですか!?」
「この時代には、こんな物があるんですの………」
「近づいてるって事は、あれが?」
「そ♪ ミラージュが乗ってる、永遠のプリンセス号だよ」
「こんな物が宇宙に浮かんでて、よく問題にならんな……」
「まあ………色々ありまして」

 バルクホルンの率直な疑問に、エルナーが言葉を濁す。

『いらっしゃい、ユナさん』
「ミラージュ!」

 永遠のプリンセス号から入ってきた通信に、温和そうな女性の顔が映し出される。

「ミラージュ、状況は先程送りましたが、詳しい話が色々あるので、着艦許可を」
『はい、それでは二番デッキに着けてください。おもてなしの準備は出来てます』
「おっつけエリカ達も来ます。まずはどこから話せばいいのか………」

 長くなりそうな状況に、エルナーはどれを優先させるべきか迷っていた。

「ガイドビーコン、エンゲージ。微速前進………着艦完了」

 所定のデッキに着艦したプリティー・バルキリー号にタラップが伸び、皆がぞろぞろ降りていく。

「すごいなこれは………」
「大和よか広い……」
「迷子にならないでくださいね」

 予想を上回る永遠のプリンセス号の内部にウイッチ達が度肝を抜きながら、エルナーの先導で一同はブリッジへと向かった。

「ようこそ、永遠のプリンセス号へ。私が艦長のプリンセス・ミラージュです」
「501統合戦闘航空団 《ストライクウィッチーズ》のゲルトルード・バルクホルン大尉だ。臨時で指揮を執っている」
「超惑星規模防衛組織チルダ、対ヴァーミス局地戦闘用少女型兵器トリガーハート 《TH60 EXELICA》です」
「話は聞いてます。それぞれ違う世界から来られたとか。確かに地球上で幾つかの高エネルギー転移反応が観測されてます」
「幾つあったんですか!?」

 ミラージュの言葉に、芳佳が敏感に反応する。

「エネルギー相対的に見て、地球上で観測されたのは五つ、ちょうど皆さんの分ですね」
「そうですか………」
「じゃあ他の人達は………」
「いえ、ほぼ同時間に同レベルの転移反応が別の惑星系でも感知されてます」
「その内の一つには、今姉さんが向かってますね」
「それなら、あと二つですね」
「二つ?」

 ミラージュが星系図を展開させ、反応のあった箇所を表示させていく。

「ケンタウルス星系、今姉さんが向かっているのはここです」
「一つはサーキス星系・惑星スピド、あと一つは……」
「あれ? ここには惑星なんて………あ」
「ええ、リューディアの艦隊に一つ」
「リューディアの所に?」

 元光の救世主の仲間の名前に、ユナが小首を傾げた。

「通信を繋げたいんですけど、今ちょうどブラックホールが間にあって、繋がらないんです。もう少しで繋がるはずですから、少しお待ち下さい」
「スピドには繋がりますの?」

 そこで遅れてきたエリカ達が姿を見せ、表示されている星系図に目を通す。

「ええ、可能です」
「でもエリカ様、時間的にセリカは今レース中です」
「それはマズイわね………最中じゃ手の空いてるスタッフもいないでしょうし」
「もう直終わるでしょうから、それまで待ちましょう。リューディア、ハイレーシングチャンネル映る?」
「今映します」

 ミドリが指摘しながらも、レースを中継しているはずの星系放送を別窓として表示させた。
 そこでは、爆音を轟かせるモーターカーが凄まじいデッドヒートを繰り広げていた。

「やってるやってる」
「さすがセリカ、トップじゃん」
「これならまた独占優勝確実かしら」
「でもないようよ?」

 画面は先頭を走る二台の凄まじいトップ争いをアップで映し出していた。

『すさまじい事になってきました! 総合優勝確実と思われた香坂モータークラブの挙母(ころも)瀬里加、突如として現れた謎の新人、シャーロット・E・イェーガーと凄まじいトップ争いだ! 勝負の行方はどうなるか私にも分かりません!』

 興奮した口調で実況しているアナウンサーの声に、そのトップ争いを見る者達はただ呆気に取られていた。

「シャーロット・E・イェーガー? そんなドライバーいたかしら?」
「あんな腕のドライバー、いたら絶対有名なはずですけど……」
「あれ、どうかした?」

 マミが後ろを振り向くと、そこで床に崩れ落ちているウイッチ達に気付く。

「シャーロット・E・イェーガー? レース中だと?」
「お、同じ名前の別な人とか………」
「芳佳ちゃん芳佳ちゃん、あれ………」

 額に青筋が立っているバルクホルンの背後で芳佳がなんとか否定しようとするが、リーネはトップ争いをしているマシンに描かれている、ウサギをモチーフにしたエンブレムとその下に描かれたGLAMOROUS SHRLEY(グラマラス・シャーリー)のロゴに最早弁解は不可能だった。

「知ってる人? ってひょっとして!」
「ああ、間違いない。あれはリベリオン陸軍第8航空軍第357戦闘飛行群第363戦闘飛行隊出身、501統合戦闘航空団のシャーロット・E・イェーガー大尉だ! あの馬鹿は一体何をしている!!」
「落ち着こうよトゥルーデ」
「ここで怒鳴ってもどうになりませんわ」
「通信が繋がると言ったな! すぐに繋げろ!」

 激怒しまくっているバルクホルンをハルトマンとペリーヌがなんとかなだめようとする。

「………状況はともかく、無事のようで何よりです」
「そうだね………」

 エルナーが慰めるように声をかけてくるが、芳佳からは乾いた笑いがかろうじて帰ってきただけだった。

「あと二人、誰と誰だろう……」
「シャーリーさんがいるって事は、一人はルッキーニちゃんかな?」
「それでも、足りませんわ……坂本少佐はご無事でしょうか…………」
「ミーナ中佐もだ。エイラとサーニャは、感知には長けているから大丈夫だとは思うが………」
「私らが大丈夫だから、大丈夫じゃない?」
「きっと大丈夫! こんなに友達が思っているんだから、また無事で会えるよ!」

 どこにいるとも知れぬ仲間達の安否を気遣うウイッチ達を、ユナは満面の笑みで励ます。

「そうだよね。うん、みんなきっと無事でまた会えるよ!」
「そうだな、沈んでいても始まらん。っと、装備は届いているか?」
「ええ、登録が必要ですし、試射もしておいた方がいいですわね」
「それなら、シューティングデッキへどうぞ」

 残弾の心許無いウイッチ達は、エリカが用意してくれた銃器を受け取るべく、ミラージュの案内でシューティングデッキへと向かった。

「うわ、ここも立派〜」
「というか、この巨大さは砲の試射でもするのか?」

 端っこがかすんで見えない無駄に大きいシューティングデッキに、ウイッチ達は呆気に取られる。

「これなら、狙いがヘタでも問題ないですわね」
「失敬な! 一応全員軍人だ!」
「全然らしくないのもいるけどね」
「それはお前だ!」
「じゃあこの中で一番銃の扱い慣れている方、こちらに手を」

 運びこまれた最新型のリニアガンのケースを開けたエリカが、個人登録の準備をすると手招きする。

「じゃあ私が。だがなんだこれは?」
「指紋、DNA、静脈パターンの登録ですわ。これを行えば、登録した当人にしか扱えませんの」
「それでは、有事に寮機の武装が使えないのでは?」
「そういう時代なので」
「むう………」

 何か納得しない表情のまま、バルクホルンが登録パッドに手を当て、得られる個人データが登録されていく。

「これでよし」
「見た目は大分違うが、基本は変わらんようだな。これが安全装置、こちらがマガジンか」
「バッテリーと弾体がセットですから」
「銃に電池が必要なのか?」
「まあ、詳しい説明は後回しにして、撃って見てください」

 リニアガンをいじくり回すバルクホルンだったが、エルナーの指摘にそれを構える。

「スコープも標準装備か」
「FCS(火器管制システム)ですけどね」
「ふむ。では」

 手馴れた構えでバルクホルンはリニアガンを構え、トリガーを引く。
 だが弾体は発射されず、リニアガンから甲高いエラー音が鳴り響く。

「なんだ!? 故障か!?」
「そんな馬鹿な!? 最新型を取り寄せたはず!」
「あたりが悪かったんじゃない? じゃあ私が」

 今度はハルトマンが同じように別のリニアガンを個人登録すると、それを構えてトリガーを引いた。
 だが結果は、同じように甲高いエラー音が鳴り響くだけだった。

「あれ?」
「二つ連続!? これを持ってきた奴をすぐに呼び寄せて…」
「待ってください。ひょっとしたら………」

 エラー音を停止させた二つのリニアガンを調べていたエルナーが、ある可能性に気付く。

「すいませんが、今ここにいるウイッチの中で一番魔力が高いのは?」

 エルナーの問いに、ウイッチ達は一斉に芳佳を指差した。

「では芳佳、ちょっとやってみてください」
「う、うん」

 芳佳はまた別のリニアガンに個人登録を済ませ、それを構える。

「撃ちます!」
「気をつけて」

 エルナーが間近で見守る中、芳佳はトリガーを引いた。
 しかし、そこでいきなりリニアガンがスパークを起こし、驚いた芳佳はそれを取り落としてしまう。

「うわ!」
「芳佳ちゃん!?」
「無事か宮藤!」

 リーネとバルクホルンが慌てて駆け寄る中、床に落ちたリニアガンはまだスパークを続けている。

「こ、これは一体?」
「やはり………魔力です。ウイッチ達は攻撃の際に自分達の魔力を付加させるのですが、その魔力にリニアガンの電子回路が耐えられないようです」
「ちょっと待て! じゃあ私達はこの時代の銃火器は扱えないという事か!?」
「そう、なりますね………」
「本当ですの!? もう残弾はほとんど残ってないんですのよ!」
「これでは、私達は戦えない! どうすればいいんだ!」
「薬莢拾ってきてリロードするとか………」
「炸薬その物が無いでしょうね……」
「どうしよう………」

 ウイッチ達が沈み込む中、そばに通信ウインドゥが開く。

『皆さん、リューディアに通信が繋がりました。そちらに繋ぎますね』
『はい、こちらリューディア』
「久しぶりですリューディア。話は聞いてますね」
『ええ、ミラージュから聞きました。確かにこちらの艦内にウイッチを名乗る方が一名、転移してきてます』

 エルナーからの問いに、リューディアが応えると沈んでいたウイッチ達が一斉に起き上がる。

「誰なんですか!?」
「坂本少佐ですか!?」
「それともルッキーニちゃん!?」
「誰でもいい! 無事ならば…」
『それなんですけど………』

 リューディアが通信枠越しにウイッチ達をじっと見つめると、少し困惑した顔になる。

『とにかく、今替わります』
「………え?」
「あれ?」

 リューディアと入れ替わりに現れた顔に、エルナーとエリカはキョトンとした顔になると、通信枠の顔と、こちらの顔を交互に見る。

『お久しぶりです、姉さま。そして501の皆さん』
「あれ、ウルスラじゃん」
『ええええ!?』

 通信枠に移った顔、ハルトマンそっくりでメガネをかけた少女の姿にハルトマン以外の全員が絶叫を上げる。

「ウルスラ・ハルトマンさん!?」
『はい』
「な、なんでお前がそこにいるのだ!?」

 その少女、エーリカ・ハルトマンの双子の妹のウルスラ・ハルトマンに姉以外の全員が唖然としていた。

「姉さま、という事は妹さんですか」
「うん。けどウルスラはあの時あそこにいなかったはずだけど?」
『状況は分かりませんが、私は新理論の反応型ストライカーユニットの実験中、大規模な爆発事故が起きて、気付いたらここに』
「またやったんだ」
『……また?』

 何か不吉な言葉に、リューディアの片眉が跳ねる。

「ともあれ、探していたお仲間ではなかったようですね」
「まあ、他にも飛ばされてきた者もいるかもしれないという事だけは分かった……」
「他にも爆発で来てる人いたりして?」
「そんな理由で来てる人が何人もいてたまる物ですか!」
「ちょうどいいやウルスラ。ちょっとこっちで問題が発生してたんだ」
『問題?』
「先程戦闘があってな、敵の殲滅には成功したが、残弾をほとんど使い果たしてしまった。この時代の銃火器は魔力に耐えられない造りらしく、このままでは我々は戦えなくなる」
『なるほど……故障の詳細は分かりますか?』
「電子回路のショートが原因ですね。今データを取っておいたので送ります」

 バルクホルンの説明に、ウルスラは頷き、そこへエルナーが今おきたばかりのショートの様子を解析したデータを向こうへと送信する。

『これ、どう見るの?』
『ここをこうして。ああ、確かに外からの負荷でショートしてますね』
『なるほど………』

 送られてきたデータをリューディアに見方を教わりながらウルスラがチェックする。

『電磁式射出銃、この時代じゃ実用化してるんですね』
「分かるんですか?」
『魔力で似たようなシステムを構築できないか試した事が。上手くいきませんでしたけど』
「ああ、あの私が試射に行って研究室半分吹っ飛んだ時か」
『吹っ飛んだ?』

 技術格差を理解できない芳佳達と違って、ウルスラはある程度理解しているらしい事にエルナーは驚く。
 ただその会話を聞いているリューディアはたまに混じる不穏な単語に敏感に反応していたが。

『この世界の銃火器が大なり小なりこのシステムなら、むしろ私達の世界の銃火器に近い物を作った方がいいですね。でないと、システムその物を一から再構築する事になります』
「う〜ん、それしかないでしょうね………リューディア、そういう設備はその船にありましたか?」
『ラボならあります。多分可能だと思いますけど、失礼ですが先程から何か不吉な事を言ってませんか?』
「ああ大丈夫、ウルスラが実験で部屋吹っ飛ばすのは昔からだから」
『……あの、私の船でそういう危険な実験は』
「こちらで経費と修理費は持ちますわ。香坂財団が仲間の装備すら用意できないなんて沽券にかかわりますし」
『だから爆発前提で話は…』
『それではすぐに取り掛かります。でも、受け渡しはどうすれば』
「リューディアの船には転送装置がついてます。こちらのビーコンパターン送りますから、出来たらすぐに送ってください」
『転送、そこまで出来るなんて……分かりました』
『ちょっとエルナ…』

 通信が途切れ、後にはちょっと微妙な沈黙が降りる。

「妹さんの方、ウイッチというよりはエンジニアなんですの?」
「ウルスラは昔から本ばっか読んでたからね」
「今ではカールスランドの誇る優秀なウイッチエンジニアだ。ウイッチ専用の武装を幾つも開発している」
「見た目だけはそっくりですけど、中身は全然違うんですね〜」

 ハルトマン(姉)とバルクホルンが胸を張るのを、エリカとエルナーが妙な方向で感心する。

「ともあれ、銃と弾丸が届くまで、このレイピアで頑張るしかありませんわね」
「電子回路がダメとなると、下手な装備は何一つ用意できませんし……武具専門の骨董商でも用意します?」
「坂本さんなら扶桑刀だけでも戦えるけど、私はちょっと……」
「弾丸が無いなら、ハンマーでもなんでも構わん。私は戦える限り戦うぞ」
「バルクホルン大尉なら大丈夫でしょうけど………」
「こちらの人員も集結してますから、そうそう厄介な事にはならないでしょう。ともあれ、今後の方針も決めなくてはなりませんから、ブリッジに戻りましょう」
「今後、か」

 エルナーの言葉に、芳佳はどうするべきかを必死に考えたが、何も思い浮かびはしなかった。



「お帰り〜、使えそうだった?」
「それが、色々問題があったんですが、リューディアの方にウイッチエンジニアが転移してたそうで、なんとかなりそうです」

 ミラージュと一緒に情報収集に取り組んでいた(正確には脇で見ていただけだが)ユナに、エルナーが状況をかいつまんで話す。

「レースの方、終わりました」
「すごい熱戦だったな」
「でもセリカが総合優勝です!」
「さすがね。で、あれがお仲間?」
「間違いない………」
「確かに」

 画面に映る表彰台、一番高い所で優勝カップを掲げているグレーがかった黒髪の少女の隣で、シャンパン(※ノンアルコール仕様)を降りかけているブラウンの髪のレーシングスーツの上からでも分かるやたらと豊かな胸をした少女の姿に、ウイッチ達が引きつった顔を浮かべた。

「すぐに回線を繋げ! あの馬鹿を呼び戻す!」
「惑星スピドまで何光年あるか分かってますか?」
「まあ連絡はしておいた方がいいでしょう」
「こちらで繋げましょう。ピットに直通で繋がるはずですから」

 見るからに顔を憤怒で赤くしているバルクホルンに、ミラージュとポリリーナが困った顔をする中、エリカが通信回線を繋いでいく。



「やるな、あんた」
「いやあ〜、もうちょっとこっちのマシンに慣れてればな〜」

 表彰台から降りてきた二人、エリカ7の一人、ハイスピード・セリカこと挙母 瀬里加と、シャーロット・E・イェーガーが肩を叩きあいながらピッドへと向かっていた。

「どうだい? 仲間が見つかんなかったら、このまま正式に内の所属になんないか?」
「う〜ん、魅力的なお誘いだな〜」

 派手なデッドヒートの末に完全に意気投合した二人だったが、そこでピットの方で呼ぶ声に気付いた。

「シャーリー、あんたに電話だ」
「あたしに? 誰から?」
「知らんが、えらい剣幕だ」
「ここに掛かってきたって事は、直通のはずだけど………」

 セリカも不審に思う中、シャーリーが教わった通りに通話ボタンを押す。
 まず最初に表示されたのはどアップのバルクホルンの憤怒の表情だった。

『シャーロット・E・イェーガー大尉! 貴様そこで何をしているか!!!』
「お〜、バルクホルン大尉じゃないか。元気だった?」
『元気だった、じゃない! 何で軍務中の軍人がレースなんて出ている!』
「いやあ、なんでか分かんないけど、いきなりこのレース場の中飛んでてさ〜。そしたら空飛ぶあたしのお尻見たドライバーが一人事故っちゃって、替わりに出場してみた」
『ふざけるな!! まったく貴様はいつもいつも…』
『ば、バルクホルンさん、それくらいで』
『話が進みませんから』

 映し出された映像に背後から止めに入る芳佳とリーネの姿に、シャーリーは笑みを浮かべる。

「宮藤とリーネも一緒か」
『私とペリーヌもいるよ』
「って事はあたしとバルクホルンと宮藤とリーネとハルトマンとペリーヌ、半分は見つかったわけか」
『あ、ウルスラも来てるよ。ここにはいないけど』
「そっか〜、ルッキーニは見なかったか?」
『いえそれが………』
『他の人達はどこにいるかはまったく………反応はあと一つあるんですけど』
「あと一つか………」

 シャーリーはそれが自分といつも一緒にいた無邪気な少女であってほしいと願ったが、口にはさすがに出しはしない。

『あの、質問があるのですが』
「ん、なんだ……って今のは誰だ?」
『失礼しました。私は英知のエルナーと言います。質問なのですが、あなたもウイッチなんですよね』
「ああ、そうだよ?」
『今こちらで分かった事ですが、ウイッチの魔力に現在の電子回路は耐えられません。銃火器ほどでないにしても、レーシングカーも電子機器は多用しています。あなたはそれをどうやって運転したんですか?』
「ん? ああなんか調子悪いから全部切って、この子が替わりに制御してたんだ」

 シャーリーがそう言うと、その肩に人形と言って差し支えない小さな影が現れる。
 巫女装束のような格好に飛行ユニットが付いた、まるで扶桑の陸軍ウイッチをそのまま縮めたかのような姿に画面越しの皆の目が丸くなる。

『何だその扶桑人形のような物は?』
「人形ではありません。私は武装神姫・戦闘機型MMS 飛鳥(あすか)。指定条件に一致したお姉様をマスターとして認識しております」
『お姉様?』
『おいシャーリー、お前何をそれに吹きこんだ?』
「最初っからこう呼ばれたんだけど」

 物静かに話す飛鳥を前に、ウイッチ達はどう反応すればいいか分からず、エルナーの方を見た。

『武装神姫? 貴方の言う指定条件とは?』
「私にプログラミングされている条件とは、『次元転移反応を持ち、戦っている者をマスターとして登録し、サポートする事』。お姉様はその全てに一致しておりました」
『待って。セリカ、そちらで何かありました?』

 飛鳥の述べる条件を聞いたエリカが通話に割り込む。
 セリカはしばし考えるようにしてシャーリーと目配せすると、おもむろに口を開く。

「エリカ様、実はレースの行われる少し前、妙なのと戦いました」
「黒くてグライダーみたいな奴。ネウロイに似てたけど、何か違ってたな〜。で、それと戦ってる最中にこの子が飛んできて、色々教えてくれて」
「数が少ないのと、レースに影響が出るかと思って、二人だけ、いや飛鳥も含めて三人の秘密だったんですが」
「それで、仲間探すには何か名前売っておいた方が手っ取り早いと思ってレースに…」
『そこで何でそうなる!』
「事実、お姉様の仲間からすぐに連絡が来ました」
『う、それは………』

 怒声を上げるバルクホルンだったが、飛鳥の指摘に口ごもる。
 だが、そこでエグゼリカが通話に割り込んできた。

『待ってください。その戦闘データ、ログはありますか?』
「記録しています。転送しますか?」
『お願いします!』
「転送します」

 飛鳥から送られてきた戦闘データ、確かにシャーリーの言うようなグライダーにも似た機体に、宙を舞うシャーリーと地表を高速で動き回るセリカの連続攻撃が次々と炸裂していく光景が再生されると、エグゼリカの瞳が大きく見開かれた。

『これ、ヴァーミスの偵察機です! こんな所にも!?』
『………セリカ、彼女を連れてすぐにこちらに戻ってきなさい。そちらの宇宙港に香坂財団のプライベートクルーザーが有ったはず、使用許可をすぐに出します』
「わ、分かりました!」
「……一体何が起きてんだ?」
『覚悟しておけシャーリー。どうやら、我々は今まで経験した事の無い闘いに巻き込まれそうだ』

 普段冗談なぞ絶対言わないバルクホルンの言葉に、シャーリーの顔が少し険しくなり、肩にいた飛鳥がそれを心配そうに見つめていた。

『戻ってくるにしても、スピドまでは大分ありますから、どこか別の惑星で待ち合わせては?』
『それがいいわね。こちらの準備が出来次第、出発するわ』
『転移反応のあったポイントからだと、惑星ダンボーなんかどうでしょうか?』
『わ〜い、温泉だ〜♪』
『え? 温泉あるんですか!』
『遊びに行くんじゃありませんよ! それじゃあそこまで来てください』
「OK、エルナー」

 温泉で有名な観光惑星の名にはしゃぐユナと、温泉と聞いて目を輝かせる芳佳をバックに電話は切れる。

「どうやら、祝勝会してる暇はなさそうだね」
「あっちでも何かあったみたいだ。待ち合わせ場所までどれくらいかかるんだい?」
「普通なら三日、とばせば二日半か? 状況にもよるが」
「急ぎましょう、お姉様。仲間の元へ」
「ああ!」

 着替えもそこそこに、セリカとシャーリー、飛鳥は宇宙港へと急いだ。



『こちらに向かってくる宇宙船感知、船籍登録不明』
「!?」

 突然のクルーザーの制御AIの警告に、ミサキの目つきがするどくなる。

「まさか宇宙海賊!? 映像を!」
「宇宙にまで海賊は出るのか………」

 飲んでいたコーヒーのカップを手にしたまま、ミサキと美緒がコクピットに乗り込んでくると、前方からゆっくりと迫ってくる青と白のカラーリングの宇宙船の姿が映し出される。

「すぐに接近注意を警告! 準戦闘体勢、フィールド展開準備!」
『接近中の不明船から通信、戦闘の意思は無い模様』
「え?」

 一戦を覚悟していたミサキだったが、直後に届いた降伏信号と一緒の通信に緊張を僅かに緩める。

「通信を受理、ただしウイルス混入の可能性を考慮、フィルターをレベル3で」
『了解』

 まだ完全に敵ではないと判断するには尚早と考えたミサキが用心深く回線を繋ぐ。
 通信枠越しに赤髪の若い女性の姿が映り、その女性が僅かな笑みを浮かべて口を開いた。

『こちら調査艦 《カルナダイン》、次元転移反応の調査をしています。何か異常はありませんでしたか?』
「あるわね、調査艦と言ったけど、貴方の船はどこにも船籍が登録されてないわ。それにそのエネルギー出力、どうみても戦闘艦ね」
『いえ、これは………』

 間髪入れないミサキの指摘に、赤髪の女性がたじろぐ。
 それを見ていた美緒は眼帯を外し、己の固有魔法の魔眼で船体と宇宙空間越しにカルナダインとその搭乗者を見た。

「そいつ、人間ではない!」
『!?』
「………貴方、何者? 機械人? それとも? 目的は何?」

 美緒に正体を見透かされ、赤髪の女性を見るミサキの視線は更に鋭くなっていく。
 赤髪の女性はしばし迷った顔をしたが、即座に真剣な顔へと変わった。

『私は超惑星規模防衛組織チルダ、対ヴァーミス局地戦闘用少女型兵器トリガーハート・《TH32 CRUELTEAR》。この船は私達のサポート艦です。ただ、次元転移反応の調査に来たのは本当です』
「チルダ? そんな組織はこの銀河に存在しないわ」
「少女型兵器だと? そんな物がこの世界には存在するのか!?」
『……貴方はひょっとして、ウイッチですか?』
「なぜそれを!?」

 更に緊張を高めるミサキと美緒だったが、TH32・クルエルティアの指摘に逆に驚く。

『私の妹機に当たるTH60 EXELICAから報告がありました。地球でウイッチを名乗る不思議な少女達と共に、我々の敵ヴァーミスと戦っていると』
「地球にウイッチが! 本当か!」
「ヴァーミス? 何者?」
『詳しくはデータリンクでお教えします。ランデブーの許可を』
「……許可するわ」
『感謝します』

 二隻はそれぞれ併走するように接近し、データリンクで地球から送られてきたデータが全てミサキのクルーザーへと送られてくる。

「間違いない、501の仲間達だ」
「エリカに、ユナ! 彼女達も一緒に戦ってるの………」
『今は永遠のプリンセス号という船で戦闘準備を行っているそうです』
「永遠のプリンセス号なら、こちらから通信が繋がるかも」
『サポートします』

 そこでいきなり淡い青色の髪をした、どこか幼い少女の容姿をした小さな人影が通信枠に現れる。

「彼女は?」
『私はカルナダインの搭載AI 《C’r_na》。間違いないです、転移反応はあの眼帯の彼女からです』
「AI? 武装神姫とは違うのか?」
『……失礼だけど、貴方は一体どこから来たの?』
「ざっと350年前、まだ電子頭脳の初期型が完成するかどうかの頃ね」
『350年!?』
『だとしたら、時空軸のズレは相当な物です。多分私達がここに転送された来た時よりも……』
「……かたやレトロなサイキッカー、かたやオーバーテクノロジーの少女型兵器、報告書になんて書いたらいいかしら………?」
『通信繋がりました』

 ミサキが頭を抱えそうになるが、そこでカルナの声が響き、新たな通信枠が開く。

『こちら永遠のプリンセス号、カルナダインからの通信をキャッチしました』
『姉さん、そっちは大丈夫?』
『エグゼリカ、無事に目標との接触に成功。確かにウイッチと呼ばれる存在よ』
『本当ですか!?』『誰なんですの!?』
「おお宮藤にペリーヌ、無事だったか」
『坂本さん!』『坂本少佐! ご無事でよかった……』
「危ない所、彼女達に助けられてな」
「あ、ミサキちゃん! 久しぶり〜♪」
「ユナ、聞いたわ。大変だったみたいね」
『おや? そこにいるのは、武装神姫ですか?』
「はい、天使型MMSアーンヴァルと言います」

 通信枠に次々と入れ替わりに皆が押し寄せ、最早誰が何をしゃべってるのか分からない混線具合になっていく。

『あの、皆さん順番に……』
『姉さん! 地球にヴァーミスが!』
『ミサキちゃん、そっちは何か起きてない?』
『坂本さん、シャーリーさんも武装神姫連れてましたよ!』
「………これでは話にならん。どこかで落ち合ってからの方がいいのでは?」

 さすがに美緒も少し顔をしかめ、実際に会った方がいいと判断する。

『こちらは装備を整えてから、惑星ダンボーに向かうわ。そこで全員合流しましょう』
「分かったわ、ダンボーね」
『座標は、ここね』
『これならそんなに時間はかかりません』

 ポリリーナの提案に皆が賛同し、座標を確認したクルエルティアとカルナも頷く。

『じゃ、水着忘れないでね』
「……現地調達ね」
「水着?」
『ミサキちゃん、皆で待ってるね〜♪』

 能天気なユナの声と共に、通信が切れる。

「ともあれ、全員ではないが無事は確認できたな」
「けど、銀河全体精査した訳じゃないから、他に転移してきてるかどうかまでは………」
『こちらでも探査してみたけど、他の反応は感知できなかったわ』
『時間軸の誤差がどれくらいか、それとも全く別の時空に飛ばされたか。判断はつきませんね……』
「……無事だといいのだが」

 カルナの言葉に、美緒は顔を曇らせる。
 だが、ミサキは別の事を考えていた。

「ウイッチ、トリガーハート、それらがユナを中心とした光の戦士達の元に辿り着いた。これは果たして偶然?」
「偶然ではなく、必然です」

 そう言ったアーンヴァルに全員の視線が集中する。

「何か知っているのか!?」
「いえ、そうプログラムに登録されています。他は何も分かりません」
『……彼女も、謎の存在ね』
『データから見れば、明らかにこのような事態を想定し、サポートするための存在です。つまり、誰かがこの事態を予見していた?』
「分からん。一体誰が………」

 その場に、重い沈黙が降りる。
 だがそこで、ふとクルエルティアが先程言われた事を思い出す。

『そう言えば、水着が必要と言ってたのは何ですか?』
「ああ、ダンボーは観光惑星なの。温泉やジャグジーで有名ね」
「温泉か! それはいいな」
『温泉、確か地熱で暖かくした鉱泉の事ね』
「何だ、入った事ないのか? 温泉はいいぞ」
『トリガーハートに効果はあるかどうか……』
『さあ? とにかく向かいます!』

 様々な謎を含み、二隻の宇宙船は進路をダンボーへと向けた。



「第2攻撃目標にて、異常発生」
「トリガーハート確認、警戒態勢上昇」
「他、不明の敵性体、多数確認」
「警戒態勢、最高にまで上昇」
「第1攻撃目標に戦力を集中、早期の制圧を持って敵性体に全力を持って攻撃に当たる」
「ふふ、トリガーハートがここにいるなんてね……私が完璧になるため、アンカーユニットが欲しかった所よ」
「第1攻撃目標制圧のため、イミティト部隊の完成を急務とする」

 無数の情報会話が続く中、一つの影がほくそ笑む。
 その背後で、無数の何かが製造されていた………






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