ラーメン万人家


万人家(まんにんや)のラーメンが、進化している(1)。

ここ最近は「特製らーめん(680円)」の大盛り(100円増し)に嵌(は)まっている。それまでは、たいてい「メンマらーめん(680円)」の大盛りを注文していたが、あるときカウンター席で、4つほど離れた席の人が注文した特製らーめんが運ばれて来るのを見て、初めの頃と具材が違っていることに気付いた。

どうも、私の好きな「メンマ」が乗っているようであった。

次の来店で、さっそく特製らーめんを注文してみると、少量ではあるが、確かにメンマが乗っていた。しかも、初めの頃より、岩海苔(いわのり)の量も増えているような気がした。値段は以前と変わってないから、その代わりであろうが、4枚あるチャーシューが3枚に減っていた。

まず、丼の中央にあるモヤシ、針とうがらし、刻みネギ、煮玉子(半分個)を脇に押し退け、ブタの背脂をほとんど含まないスープをすする。それから玉子麺をそのスープに絡(から)め、一挙にすすり込む。次に、丼の周囲に浮かぶ背脂を麺に絡め、また一挙にすすり込む。背脂の香ばしい香りが鼻に抜け、えも言われぬ幸せが込み上げて来る。背脂に絡めた麺を何度も何度も口に運び、その合間にメンマ、モヤシ、チャーシューをほお張る。半分近く食べたところで、モヤシの上に乗っている岩海苔をスープに浸し、麺と絡める。今度は磯の香りが全体に広がり、また違った味が楽しめる。麺とスープが残り1/4となったところで、今度は胡椒を振り掛ける。ちょっと辛みのある、また違った味になる。最後に、とろとろになった煮玉子の黄身を麺に絡め、そのハーモニーを楽しむ。残りのスープを飲み干して、フィニッシュである(2)。

これだけ多種多様な具材が乗っていて、食べる人を幸せな気分にしてくれるのだから、大盛りで780円はお得である。惜しむらくは、店内が「午後2時以降禁煙解除」になってしまったことで、受動喫煙の弊害を説く私にとっては、相当に辛い時間帯である。でも、これを差し引いても「食べに行く価値はある」と思うので、皆さんも機会があれば店に足を運んでみて欲しい。

[脚注]
(1) 「進化」という言葉に過剰反応する人が少なくないが、ここでは他に適当な言葉も思い付かないので、ご了承のほどをお願いする。
(2) ブタの背脂は、以前と比べて粒が細かく、より麺と絡みやすくなったようである。また「唐辛子より胡椒のほうがスープとの相性が良い」というのが、ここ最近の発見である。それと、スープまで残さず平らげる私へのサービスなのか、丼の底にチャーシュー1枚が隠されていることがあり、それを発見すると、その心意気に嬉しくなってしまう。


Copyright 2006 Masato Hasumi, Dr. Sci. All rights reserved.
| Top Page |