これら7対の卵嚢には、桑実胚期〜尾芽胚初期(5対は神経胚期)の15〜40個の胚が含まれ、たくさんの未受精卵(それぞれの対で、胚の数/未受精卵の数: 15/3, 20/3; 20/10, 24/13; 21/1, 22/6; 22/8, 26/8; 26/6, 26/11; 28/1, 30/16; 36/11, 40/7)が見られた。産卵・放精時にオスの総排出口から放出された精液が急流で流されてしまい、その結果、多数の未受精卵が出現したものと推察された。
調査時に、ハクバサンショウウオの2年目の幼体が水たまりの縁で見つかってしまったが、これは、どこからか流されて来たものと思われた。この種の水生型のオス2匹と卵嚢5対が、水たまりの近くに掘られた水路で新たに見つかった。開けた場所の周囲では、シュレーゲルアオガエルのオスによる、調和した一連のコーラスが聞こえていた。
同行した調査者(アルファベット順、敬称略): 懸川雅市(東京都立小松川高等学校)、岸冨士夫、齊川祐子(しろうま自然の会)、高田孝慈(長野市茶臼山動物園)。