地震・防災関連用語集

カテゴリ:環境

オゾン層

オゾン層は、地表から20~25km上空を中心に高度10~50kmの範囲に広がる比較的オゾン濃度の濃い大気層で、ほぼ成層圏と重なっています。酸素は太陽の紫外線によって酸素原子O~酸素分子O2~オゾン分子O3と一定の状態を保ちながら絶え間なく変化しています。

地球の歴史上、約10億年前以降になると藻類が浅海に進出し、藻類の光合成による酸素の排出が始まり、大気中の酸素濃度は急速に増加しました。酸素濃度の増加によって大気の上層でオゾン層が形成されると生物の生存にとって有害な紫外線が吸収・遮断され、生物の上陸が始まりました。その結果、今まではげ山に近い状態の陸地にその後森林が形成されるようになり、陸地の景観は大きく変わります。

生物は、自ら地球環境を変え、生存領域を海から陸へと広げていき、さらに地球環境を変えてきました。その根本にはバンアレン帯の発生があります。バンアレン帯の発生によって地球表面は生物に有害な太陽風から防御されるようになり、そのために生物が浅い海に進出できたからです。

オゾンは紫外線を吸収するため、地上に到達する日射の紫外線強度は上空の大気に含まれるオゾン総量によって決まります。この原理を利用して、地上における紫外線測定からオゾン総量を求めるオゾン分光計がドプソンによって考案されました。ドプソンはこの分光計を用いて北半球の低緯度から高緯度に及ぶ各地点のオゾン総量測定し、その結果、成層圏における赤道から極に向かう大規模な循環を推論しました。この循環は「ドブソン循環」と呼ばれています。また、オゾン分光計によるデータの蓄積から、オゾン分布は南北両半球で差があることが認められている。地球規模で見たオゾンの空間分布が大気循環のトレーサとして重要な情報を含んでいることがわかります。

昭和基地など南極での観測により、春に当たる10月頃に成層圏のオゾン濃度が著しく減少することが見出され、オゾンホールと呼ばれています。通常は、オゾンの減少は12月頃には回復していましたが、ここ数年オゾンホールの規模が益々拡大していることが見出されています。オゾンの減少は、皮膚ガンや遺伝子異常を引き起こす原因となるばかりでなく、気候変動を引き起こす可能性もあるので憂慮されています。

オゾン層の減少の原因としては、超高速旅客機の排ガスに含まれるイオウのエアゾル、窒素酸化物や火山の噴火による塩素化合物などが考えられていますが、最も疑われているのがフロンガス(クロロフィルオロカーボン)です。フロンは化学的に安定なため、分解されずに成層圏まで達し、太陽の紫外線で分解され、大量の塩素原子を放出し、この塩素原子がオゾンを連鎖反応的に破壊するといわれています。