中央本線にある青柳の駅舎は無人駅でありながら鉄道建築協会賞を受賞した駅で、JR東日本のオフィシャルHPの駅の写真館でも紹介されている。駅舎はコンクリート製だが待合室はガラス張りで中に入ってみるとどこか明るくて開放感がある。
青柳の駅舎でいちばん注目すべき所は真ん中にある上に突出した建築物であろう。これは「うだつ」と言い、隣家との境にある装飾と防火を目的とした屋根の出っ張りの事である。駅舎のような高い「うだつ」はよっぽど裕福な家でないと造れなかったことから、これが転じて出世できない人の例えを言ったことわざ、「うだつが上がらない」の語源ともなった。
このような駅舎がデザインされたのも青柳の辺りはかつては伊那や高遠方面へ行くための重要な宿場町だった名残で国道20号線より1本奥の旧道沿いに民家が建ち並んでいるのを見るとその面影を感じる。
ホームは2面3線の構造で真ん中は特急の通過待ち合わせなどの待避線として用いられている。駅から国道20号側を見てみると高台にある大手電子機器メーカーの寮の建物が特に目立つ。
元々はJR東日本のHPを見て思わず青柳の駅舎に惹かれてやって来た。「うだつ」と「うだつが上がらない」の意味を知るとマイペースで生きながらも、どこかで成り上がってやろうという気持ちが人一倍強いのかも知れない。
(2004.11.29)