まるで民家の庭の中に溶け込んでいるかのように存在するカプセル型の白い建物、それが加古川線にある駅、船町口の駅舎である。駅名の由来となった船町とは、近くを流れる加古川の対岸にある町で、名前の通り舟運の拠点となった場所だ。船町口から加古川に架かる船町橋を渡ってすぐの所には、駅前に大きく掲げられている船町蛭子神社があり、交易や航海安全の神である蛭子様を祀っているのは非常に分かりやすい。
今回船町口に立ち寄ったのは、駅ノートがあるという情報を聞いて途中下車をした。実は兵庫県内は駅ノートの設置が何気に多く、とりわけ粟生から分岐する北条鉄道線内においては、ノートの設置率が非常に高く、中でも播磨下里ではお絵描きイベントが定期的に開催されるなどいう熱の入りっぷりである。
そんな北条鉄道の影響を受けたのか、カプセル型の駅舎内のホーム出入口付近の所に駅ノートが設置されている。ノートの内容は旅の思い出や、ちょっとした足跡残しといった書き込みがあるが、近年では俗に絵師と呼ばれる方々によるスケッチも描かれている。いずれもレベルが高い力作ばかりなので、眺めているだけでも結構楽しいものである。
(2019.3.31)