加古川を挟んだ向かい側にある円応教の巨大な建物を眺めた後に、煙突から水蒸気の煙が出るパルプ工場の脇を通り過ぎたらすぐに到着する駅が加古川線最後の駅、久下村である。
かつては昔ながらの駅舎があり、
船町口と同じく駅ノートも置かれていた駅だったが、その駅舎が取り壊されて、コンクリートのアーチ状の建造物に生まれ変わってしまい、ノートも撤去されてしまっている。建造物に付けられている建物資産標を調べてみたら、2019年3月と書かれており、つい最近造られたものだということが分かる。もちろんホームからは円応教の建物が見える。
かつては交換可能な対向式ホームの駅で、目の前にパルプ工場があるという立地から貨物も取り扱っていた歴史を持つ駅だが、大阪の近郊区間に入っている路線にも関わらず1日9往復しか電車が走らず、駅周辺はパルプ工場の従業員駐車場などといった社有地が多く、少し離れた所に民家があるだけで、駅が孤立してしまっている。
地元の住民は電車の本数が多い福知山線の谷川の方に流れて行ってしまっているようで、現在久下村を利用している人は指折りで数えられる程度にまで落ち込んでいる。
目の前にある工場は、工場萌えの人にとっては格好の撮影スポットとなるのは間違いないが、パルプ工場特有の木材とアンモニアが混じったような異臭がするのが久下村の難点であり、誰も近づかない要因となっているのかも知れない。
(2019.3.31)