日本三大急流の一つである富士川と、その支流である常葉川や早川との合流点付近に位置する駅、波高島。個性的な駅名は、川の氾濫が多くて稲作に不向きだったために畑作がメインだったために付けられた「畑ヶ島」から由来する説や、2つの支流が合流するために、波が高かったからその名が付けられた説があるが、いずれにせよ波高島の地名の由来は富士川の存在がとりわけ重要な役割を持っていたと言える。

 かつての大きな木造駅舎は解体され、2016年より片流れ屋根の小振りな待合室の駅舎に建て替えられた。新しめの金網が長く連なっている状態が波高島の旧駅舎がいかに大きかったものかが想像できる。それでも駅舎から構内踏切を渡って島式ホームに上がるのは昔のままである。

 この波高島は、あfろ氏原作のアニメ「ゆるキャン△」において、本栖高校野外活動サークルの初期メンバーである大垣千明と犬山あおいの通学利用駅という設定があり、1期では波高島の駅名標だけが登場したに過ぎなかったものの、2期である「SEASON2」ではエンディングでバス停と公衆トイレ兼駐輪場の建物も描かれた駅前のカットが映し出されている。しかし巡礼のメインは学校だったり、富士山が見える本栖湖だったりするので、今のところ「ゆるキャン△」の作品内では最も穴場的な巡礼スポットかも知れない。

 また波高島は車で来る場合は、信玄公の隠し湯として知られている下部温泉への入り口になっていて、ホームから見える高速道路のインターチェンジも温泉の玄関口としての役割を担っている。

 波高島は過去に乗下車扱いをした駅だったために、今回は車での訪問となり、波高島での撮影を終えた後、国道300号線を走って本栖湖方面へと車を走らせたのだが、途中で甲斐常葉の表示を見たら本栖高校、本栖湖から富士山が見えた時、思わず車を止めて「ゆるキャン△」の聖地巡礼をしてしまったのは言うまでもない。

                                                              (2021.2.7)

       
Hadakajima
波高島の駅舎。木造駅舎から建て替えられたら、より小さな待合室のみとなった。
ゆるキャン△SEASON2のEDのカットに使用された波高島の風景
波高島の駅名標。ゆるキャン△の1期では、これだけが表示された。


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波高島に到着する身延線の電車。背後の高速道路には下部温泉の玄関口の役割を担うインターチェンジも設けられている。
波高島