写真では分かりにくいが花咲のホームからはわずかながら海が見える。
花咲の駅舎。貨車改造の待合室である。


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Hanasaki
花咲
花咲のホーム。花咲線の愛称を持ちながら、この駅は利用者がほとんどいない。
花咲の駅周辺にあるのは牧場1軒のみ。ただただ空が広かったのが印象的であった。
 滝川から根室へと伸びる北海道の長大路線である根室本線ではあるが、メインは特急が走る新得〜釧路間である。釧路から終点の根室までは快速と普通列車のみの運行となっていて、「花咲線」という愛称も付けられた。

 「花咲線」や「花咲ガニ」という冠名があるにも関わらず、花咲の駅は片面ホームの貨車駅という小さな駅だ。かつて貨車改造の待合室の表面には魚やカニのペイントが施されていたが、今では何の特色もない落ち着いた塗装になっている。

 地名こそ花咲港を名乗ってはいるが、海は遠方に見える程度で駅から港まで歩くのには相当な時間を要する。また駅周辺にあるのは牧場1軒のみで、駅前の道道の歩道は所々割れており、その隙間からは雑草が生えている現状で、よほど使われていないという印象を受けた。

 貨車改造の待合室の中は片隅にベンチが置かれているのみで、ストーブのない時期は結構広々とした空間が設けられている。しかしゴミ箱がなく、トイレも鍵がかかっているので使用することができない。

 近年JR北海道は経営改善のためにいくつかの駅を廃止する方針を決め、「花咲線」という愛称があるにも関わらず、この花咲を利用する人がほとんどいないという理由で廃止の対象となった。待合室の中には「花咲の駅が無くならないように」というメッセージが書かれているが現実は厳しいものではないかと思う。

 花咲の後、隣の東根室に下車して釧路方面に向かう時、偶然にも光洋中学校の生徒の下校時刻だったので、彼らの動きを観察してみたが、残念ながら花咲の駅に下車した子は一人もいなかった。

                                                             (2015.9.14)