仮乗降場から昇格した歴史を持つ函館本線の東山。待合室もない枕木を並べただけの簡素なホームという構造は道南では珍しいスタイルだ。
駅から森寄りにある踏切までは線路際の未舗装路を歩かなければならない訳だが、特急などの通過列車が高速で通り抜けるため、線路と歩道の間には簡易的な安全柵が設けられている。
駅から通称大沼国道と呼ばれる国道5号線までは徒歩で10分強。その間には炭の工房の他民家が点在はしているが、この東山を利用しているのがいるかと聞かれると疑問点がつく感じの雰囲気だった。
私は10:30の列車でこの東山に下車し、12:07の列車に乗る作戦を取った。しかし夏の暑い日に待合室のないホーム、そして周囲に売店はおろか自販機がひとつもない場所で長時間次の列車を待つのは、ちょっときついものがあった。
東山の滞在時に2人ほど駅にやって来たが、共に隣の
姫川からやって来た方々で、普通列車の本数が少ないこの地域において、東山~
姫川間においては徒歩等の列車以外の方法でアタックするのが一般的なようだ。
上りの函館方面は上りの勾配になっているため、上り普通列車が東山に停車して再び走り出すときには喘ぐようにして上り勾配に挑む姿がとても印象に残った。
またこの東山は2017年春に廃止の噂が飛び交っている。ホームや安全柵などといった素材が簡素なものであるがゆえ、実際に廃止されたら駅は跡形もなくなることは必至である。東山が現存しているうちに駒ケ岳をバックに駅を通る列車の写真を撮っておいた方がいいのかも知れない。
今回の旅において、道南の駅訪問はこの東山のみという予定だったが、森から普通列車に乗った時、
姫川で安田大サーカスの団長安田が秘境駅のテレビ取材を行っていた。当初の予定はここから森まで行って、森から普通列車で長万部に向かう予定だったが、急遽予定を変更し、12:07の列車に乗って団長に会うために
姫川に向かうことにした。
(2016.8.15)