新日本三景の大沼を南岸に行き、駒ケ岳の東の裾野を走って森駅に行く函館本線の路線は通称砂原廻りと呼ばれている。大沼駅を出て砂原廻りで最初に到着する駅が、この池田園である。
駅名となった池田とは、明治時代に北海道庁を退職した後、大沼の公園化に尽力した池田醇(あつし)の功績を称えて命名されたものである。
駅前に民家は点在しているが、建物の割には狭い待合室、ホームへ行くにはエレベーターがない跨線橋をわざわざ上り下りしなければならない設計で、バリアフリーが叫ばれている昨今にとっては使い勝手がよくないようで、1日の平均利用者が3人以下という状況である。
大沼が近くにあり、駅裏にはランバーハウスという地元大沼牛を使用したステーキ屋がある。池田園のホーム裏にきちんと通路が設けられており、お店に行く場合は跨線橋を渡る必要はなく、徒歩1~2分くらいでたどり着ける。列車ではここ池田園に17時頃に到着する便を使うのが最適だが、肉が無くなり次第その日の営業が終了になってしまうため、やっているかどうかは運を味方にするしかない。
私が池田園を降りた日は、肉が無くなって閉店になっていたので、17時51分発の森行の列車を待つことにした。池田園に滞在していた時間はわずか50分だったが、その間に重量感がある貨物列車が2本も通過していった。旅客では支線扱いとなっている砂原廻りだが、北海道の物流を支える重要な路線であることを見せつけられた瞬間だった。
(2021.9.23)