上白滝は1日1往復しか列車が停車しない駅として有名な駅だ。かつてはここ上白滝の他に奥白滝・中越・天幕と立て続けに同じ措置を取られた駅が存在していたが、交換設備がある奥白滝・中越は2001年に信号場に格下げ、交換設備が撤去されていた天幕に至っては廃止という措置が取られた。その影響で上白滝から隣の上川までの駅間距離は34キロメートル、所要時間は約1時間となっている。
上白滝は旅客取り扱いを廃止した3駅とは違って、周辺には農場と6〜7軒の民家という小集落を形成している。だが上白滝が駅として残った決定的な理由は他でもない、定期利用者がいるからだ。
数年前に石北本線に乗った時に、運転士さんから「上白滝から列車に乗って遊びに行く人が1人だけいるんだよ」という話を聞いたことがある。廃止された3駅に関しては無人地帯ではあったが、上白滝を訪問してみて民家が存在しているというのが分かったら利用者がいることも別に不思議なことではない。
駅舎はだいぶ古くなったものがそのまま残ってしまった感じが否めないが、駅舎内の待合室はきれいに掃除されている。
またチッキには駅ノートや漫画や文庫本が寄贈されている。日中10時間も停まる列車ない空白の時間があるので、その配慮と考えられるが、たとえ列車が来なくても、その強烈な個性から駅そのものへの愛着が見て感じ取れた。
朝7:04の列車に乗るために
白滝にレンタカーを置いて、歩いて上白滝にやって来た私は7時頃に、貴重な上白滝に停車する列車に乗るために既にホームに立っていた。定刻通りに上川からやって来た列車が近づいてきて、上白滝のホームに入線すると同時に地元の定期利用者がやって来るという出来事が起きた。そしてその10時間後に
白滝から列車に乗って上白滝に下車した時も朝乗った地元客が降りて行った。1日1往復しか停車しない上白滝だが、駅として存続できた理由がはっきりと分かる光景だった。
(2014.9.7)