羽越本線の桂根は、秋田から10分ちょっとという所要時間ながらも停車する電車は下りが3本、上りが4本のみで、あとは特急はおろか、普通も通過してしまうという国鉄時代における冷遇された対応が今も残る無人駅である。
元々は客扱いも行う信号場として開設され、国鉄の分割民営化と同時に正式な旅客駅に昇格した。羽越本線内で一部の普通列車が通過してしまう
女鹿や
折渡も桂根と同じ経緯で開業しているが、車での訪問は容易なのとは裏腹に電車での訪問機会は朝と夕方のみと
女鹿や
折渡に比べると難易度が高い。
列車交換が行われる信号場から誕生したため、かつてはホームは2面2線で構内踏切も備わっている駅だったが、2016年に日本海側の待避線上にあったホームと構内踏切を無くし棒線駅化された。桂根を通過する列車は上下線問わずホームがある本線上を通っていく。
ホームは上屋すらないが、桂根の駅入口から道路を挟んだはす向かいにプレハブの待合室が設置されている。室内には駅ノートも備わっており、そちらは記念にやって来たという書き込みが多く書かれている。
桂根のホームからは日本海が見える。羽越本線の線路と日本海の間には海岸の砂が飛んでくるのを防ぐための飛砂防止林が植えられ、桂根にあるそれが国内第一号となっていて、1962年に鉄道記念物に指定されている。飛砂防止林の手前に国道7号線が通っているが、秋田市内へ向かうための重要な道路であるがゆえに、車がひっきりなしに走り抜けていく姿が桂根のホームから良く見えた。
(2022.3.30)