岩国の市街地の西端の高台に片面ホームが設けられた無人駅、川西。ホームが斜面上に造られていることもあって、下から見るとけっこうスリリングな駅である。
岩国の観光名所である日本三奇橋の一つ、錦帯橋に最も近い駅で、ここから徒歩で20分くらいで行くことができる。しかし岩国の駅からバス便が充実していることもあり、川西から錦帯橋へ行く人はあまりいないのが実情である。
また川西は小説家の宇野千代の生誕地でもあり、生家、墓などが徒歩圏内にある。駅の屋根の下には彼女の写真入りで大きくアピールしている。
比較的長めのホームの真ん中に0キロポストが設置されている。これは岩日線から第3セクター化された錦川鉄道のものである。岩徳線と錦川鉄道の分岐点は、川西から少し西に行ったところの森ヶ原信号場であるが、そこは民家が少ない峠でただ単に線路が2つに分岐するだけの簡素な信号場。よってその手前の川西が錦川鉄道の起点駅となった。
0キロポストの先を眺めると市街地は終わり、線路は山の緑に向かって進んでいく。錦川鉄道の集客が容易いものではないということが想像できるであろう。
(2010.6.7)