久留里線の終着駅、上総亀山はつい最近までは有人駅だった。しかしながら2012年の春のダイヤ改正とともに久留里線の代名詞だったタブレット閉塞から自動閉塞に切り替えられ、ここ上総亀山も2012年3月16日をもって無人化された。かつての駅窓口はシャッターが下り、自動券売機のあった所も板が張られてしまい、つい最近まで有人駅だったというのがまるで嘘のようである。
上総亀山のホームは2両編成のディーゼルで限界の長さと幅の狭さが何とも特徴的で、それは列車が到着してみて改めて感じることである。駅構内を見渡して、終点の方を見やると3本ある線路が単線になり車道の手前でその線路はぷっ
りと途切れている。これは元々久留里線が内房と外房を結ぶ路線として建設された路線であり、計画としては木原線(現:いすみ鉄道)とつながる構想があったため、ここ上総亀山は中間駅という構造のまま現在に至っている。
駅の所在地は君津市ではあるが、駅周辺を散策してみると、まるで20世紀のままで時が止まったかの様な風景がそこには広がっている。駅から徒歩10分の所には小櫃川をせき止めたダム湖、亀山湖がある。湖の周辺には亀山温泉があり、温泉があるホテルや旅館は日帰り入浴も可能である。
無人化された上総亀山のホームにふと眺めてみると、久留里線が外房を結ぶ計画があったことだけでなく、この駅に駅員がいたことも、やがて時とともに忘れ去られていく。そんな気がしてならなかった。
(2012.3.28)