短いホームの離れに色あせた赤いトタン屋根の木造待合室がポツンと建つ駅、宮越。近くにある民家は道道沿いの木々に遮られているというシチュエーションのために、
神明と並んで江差線の二大秘境駅という趣がある。
駅のすぐ近くを流れる天野川の橋を渡った先に集落があり、駅はむしろその集落の住人に向けて作られた感じがある。
宮越〜湯ノ岱間に列車が1本も停車しない不思議な駅が存在する。その名は天ノ川。これは地元の鉄道ファンが設置したもので近くの天野川をもじったのであろう。しかしJRからは正式な駅としては認められず、車内からはほんの一瞬だけ垣間見る程度のものである。
天ノ川の駅は湯ノ岱、宮越両駅のほぼ中間地点にあるために、歩くのにはかなりの時間を要する。しかしながら道道沿いに設置してあるために車による訪問が容易なため、不定期ながらも短い間隔で写真を撮りに来るファンが絶えない。
天ノ川は元々江差線の存続を願って設置されたモニュメント。その夢も、夢の超特急によって儚く末期の星のように消えていくという現実を突きつけられるとなんだか切なくなった。
(2013.8.12)