中井侍は飯田線の駅としては長野県に入って最初の駅なのと同時に長野県最南端の駅である。かつては「信州ワイド周遊券」で飯田線内で自由に乗り降りできる駅の南限で、当時の鉄道ファンとしては少なからずこの駅の存在が気になっていたと思うが、この駅は天竜川のV字谷の斜面に位置する駅でホームからは天竜川の美しい渓谷美が楽しめる。
そんな中井侍の駅のすぐそばには茶畑が山の斜面にへばりつくようにして造られている。長野県の南端であるこの地域は県内では比較的温暖な気候であり「赤石銘茶」の産地として知られている。
ホームから見える民家はわずかに2軒で駅出入口は車がやっと1台通れる様な道があり、うっそうとした林の中に吸い込まれていく感じが車窓から分かる。またほかの民家も駅よりも高い位置にあり、平地がなく山の斜面にこしらえた感じがし、そこから下を見下ろすとまるで崖と感じるような急坂である。そんな民家のそばの道も1車線分しかない上にヘアピンにつぐヘアピンで1300ccクラスの乗用車でも一苦労するので車での訪問はあまりおすすめできない。
(2003.8.3)