布原は伯備線の中ではちょっと変わった駅である。と言うのは時刻表で伯備線のページをめくって見ると普通列車でさえも布原の駅の所だけ決まって通過を現すレ点になっている。一般的には「どうやったらこんな駅に降りられるんだ?」と疑問に思ってしまうかも知れないが、芸備線のページを調べると芸備線は備中神代から全ての列車が新見まで乗り入れており、おまけにその芸備線の気動車7往復のみがこの布原に停車する。
布原のホームは上下線がずれている、いわゆる千鳥式のホームだが列車1両分くらいの長さしかない上に待合室やベンチも置かれていない。そして道路沿いに面している上りのホームはやや新調した感じになっているが、山沿いの下りホームは昔のまんまで何も変わっていないと言った感じである。
「ちゃんと全部の電車を停めればいいじゃん」と言う声も出てくると思うが、この布原の周辺は山間の狭い谷間にあり、農家が4〜5軒くらいしか存在しない。しかもその農家も自家用車を持っているので駅の利用者はほとんどないと言っても過言ではなく、1日7往復でも事が足りてしまう。
布原の周辺を少し高い所から見てみると人里離れた農村といった風景がまだ残っているんだなと感じた。さらにかつてここはD51の3重連で有名になったと言う事で、布原を走るD51のモノクロの写真を想像してみるとものすごくマッチする感じがした。
(2002.12.17)