上下線合わせて3本の列車しか停車せず、列車による訪問が山田線内で最も困難な駅として知られているのがこの大志田である。

停車する列車の発車時刻は上りが6:56と20:15の盛岡行き、下りは19:36の宮古行きでいくら北東北とは言え、19:30は夏でも日の入の時刻が過ぎてしまっているので日が出ている時間に訪問する場合は車を使わざるを得ない。所在地が盛岡市とは言ってもかなりの僻地で岩手県のロードマップでも数ページを費やす事になるので出発前にはルートを念入りに確認する事をお勧めする。もちろんこれは隣の浅岸も同様のことが言える。

 駅は25パーミルの勾配の途中にある元スイッチバック駅で引込線の跡地にレールや旧ホームが残っている。大志田、浅岸と連続してスイッチバックを設けたということは、いかにこの地域の山越えが大変だったかと言うことを物語っている。

 この日は臨時の「秘境駅号」が走る日で、大志田に下車するために宮古のビジネスホテルに宿泊し、朝5:03の始発に乗るために朝4時に起きるという気合の入れようだった。「秘境駅号」が到着するのが9:55のため、3時間ほど大志田の駅とその周辺を散策する事ができた。駅の周辺を歩いてみると廃屋もあったが、古めの木造の家屋の煙突をよく見てみると朝ごはんの準備をしているのを物語るように煙が出ていた。もう少し歩くと煙突から煙が出ているのをもう1軒発見し、さらに歩くとボディのきれいな車がありそこの家では犬を飼っていた。朝ごはんの煙は大志田の土地が今でも生きている象徴に思えた。

                                                                  (2005.5.8)
大志田の駅名標とホーム
大志田の駅全景
Oshida


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大志田の駅へ行く案内標識
大志田のスイッチバックの構内跡
大志田