三江線の最後のトンネルを抜けて、住宅街に入り始めてすぐに到着する駅が尾関山である。駅周辺には小学校と中学校があって、それぞれ三次小、三次中となっている。これは1954年に町村合併によって三次市が誕生する以前は三次町の中心地だった名残であり、三次という地名の元祖ともいえる地だ。
小さな駅舎の中にきっぷ売り場の名残があるが、これは三江線では珍しい有人駅だった証である。無人化後も近くの商店できっぷを販売する簡易委託の形を取っていたが、2010年に委託契約が解除されて、完全な無人駅となった。
石見神楽の地であることに由来して、神楽の演目の愛称が付けられている三江線。尾関山の愛称「紅葉狩」は駅のすぐ近くにある尾関山公園が桜や紅葉の名所であることから、その名が付けられている。また、尾関山公園の頂上には3階建ての展望台があり、そこから三次市街が一望でき、麓にある尾関山の駅のホームもちらっと確認することができる。
尾関山の訪問が3月の下旬だったということもあって、江の川の川沿いや、公園の山道には提灯が飾られていた。あとは桜が咲いて本格的な春の訪れを待つのみという様子だった。
(2017.3.26)