大嵐は交換可能の島式ホームを持ち、時間帯によってはここで列車の交換が行われる。この駅はトンネルに挟まれた駅で単線の線路を分岐させるポイントもトンネルの中に設置されている。
駅の所在地は静岡県だが利用者は愛知県の富山村の人々がほとんどである。この富山村は総人口が200人強で国内の島しょ部を除くと日本一人口が少ない市町村で、駅構内には「日本一のミニ村 富山村」の看板もある。大嵐のホームからは鷹巣橋という大きな橋が見えるがこの橋を渡るとそこはもう愛知県富山村である。富山村の役場までは徒歩で20分くらいで左側には天竜川をせき止めたダム湖、佐久間湖の緑色の湖面が見える。暴れ川の異名を持つ天竜川だが、ここでは川の流れもなく、穏やかで神秘的な雰囲気さえも感じてしまう。
かつては木造の駅舎で富山村の小中学生が清掃をしていたが老朽化により取り壊され、平成9(1997)年に富山村の手により東京駅風の新駅舎が造られた。駅舎の待合室は「みんなの休む処」と名付けられ富山村の人々の手作りの装飾品などが飾られ、ベンチや椅子には座布団が置かれ、駅ノートも設置されており、待合室の中にいると富山村民の大嵐の駅に対する愛着を体全体で感じることができ、どこか安心する。
富山村への新聞や郵便物は一度電車でこの大嵐まで運ぶため、富山村と飯田線は観光や生活面から見ても切っても切り離せない縁である事が言える。
(2003.8.3)