牟岐線の沿線から海が見えるポイントは大きく分けて2つある。一つは海水浴場を控えた臨時駅、田井ノ浜周辺。そしてもう一つは1973年に牟岐から海部まで延伸開業された時の新線区間である。

 築堤の上に建設された鯖瀬のホームからは「八坂八浜」と呼ばれる美しい海岸線といくつかの小島から成る景勝地があるオーシャンビューの絶景駅となっている。

 そんなオーシャンビューの鯖瀬のホームから目に入るのは鯖大師本坊の案内板だ。四国八十八霊場には含まれないものの、四国別格二十霊場・第四札所で弘法大師との関りがあることから、訪問するお遍路さんもいるようだ。事実、鯖瀬のホームからも鯖大師本坊関連の建物が良く見える。

 鯖瀬の駅前には「さばせ大福」という和菓子屋がある。元々はお遍路さんのおやつとして売り出されたそうで、1個80円という安価で購入することができる。誰もいない鯖瀬のホームで食べる大福の甘みは旅で蓄積された疲れを和らいでくれる気がした。

 鯖大師本坊の最寄り駅となっている鯖瀬だが、開業が1973年と比較的遅く、駅へ行くには急坂を上ること、周辺住民のメインとなっている足は車で、国道には本数がそれなりにあるバスが走っているといった、鉄道的にはよろしくない条件が相重なってしまったせいか、利用者は非常に少なく、西崎さいき氏の「利用者0人駅」にも掲載されてしまっている駅でもある。

                                                         (2022.9.2)
鯖瀬の駅入口。利用者は多くなく、西崎さいき氏の「0人駅」にも掲載されている駅だ。
鯖瀬のホーム。1973年と比較的遅く開業した無人駅である。
Sabase
鯖大師本坊は駅のすぐ近くにあり、ホームからその全景が見られる。
四国別格霊場となっている鯖大師本坊の案内板の脇に鯖瀬の駅へ行く急坂がある。
高台にある鯖瀬のホームからは海が見える。


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鯖瀬