東名は東松島市に位置する駅で、かつては太平洋岸の低地の平野部の地区に片面ホームが置かれている駅だったが、2011年に起きた東日本大震災の時、その立地によって隣の野蒜とともに津波による大きな被害を受け、東松島市の被災状況を伝える写真にも取り上げられたことがあった。

 仙石線は仙台と石巻という宮城の二大都市を結ぶ重要な路線のため、震災後は段階を踏んで復旧を進めてきた。だが震災の被害が大きかったことに加えて、隣の松島町と東松島市の境界は無人駅が4つ続くなど沿線利用者が線内で最も少ない地域であったため、復旧も大きく後回しにされてしまった。

 津波の被害が大きかった東名は野蒜とともに内陸の高台に移転して2015年5月30日、およそ4年2カ月半ぶりにようやく仙石線の全線復旧が実現して、東名の駅に電車が戻ってきた。

 駅入口は片流れの五角形の駅舎風の建物が建てられたが、自動券売機とちょっとした待合室があれば事が済むだろうという感じで奥行きがない薄っぺらな感じになってしまっている。

 内陸に移転したために駅は山の中という感じの立地になり、駅前は大規模な宅地化が計画されている。だがこれは始まったばかりの為、駅前はロータリーがあるだけで今のところ周辺には何もないというのが現状である。

 私が東名に訪問した時は復旧して2日目で日曜日だったため、駅を見に車でやって来る地元の方がちらほら見られた。前に比べたら、ちょっと不便なところにあるのかも知れない、でも新しい東名の駅に仙石線の電車が戻ってきたのを見て喜んでいる姿は印象的だった。

                                                          (2015.5.31)

 
東名は復旧して間もないため、今のところ何もない駅である。
宅地造成の計画がある東名の駅周辺
Tona
東名
東日本大震災の津波被害が大きかった場所から内陸の高台に移転した東名駅


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東名のホーム。LEDの駅名標に簡易式のSuica改札と新しい設備が設けられている
およそ4年ぶりに東名にやってきた仙石線の電車。一番待っていたのは地元の方々であろう