三江線には日本を代表するような風変わりな駅が存在する。その風変わりの駅とはこの宇都井であり、三江線を語る上では欠かせない駅になっている。
その風変わりさとは、両方をトンネルに挟まれ、そのトンネルとをつなぐために高架橋を設置、またその谷間に集落があるのでそこの住人のために高架橋の所に半ば強引に駅を造ってしまったのである。地上からホームまでの高さは約20メートル、116段の階段を上ってたどり着く。
この区間は開通が最も遅く、駅の開業は昭和50(1975)年であった。もともと三江線は江の川沿いに線路を敷設していたが、70年代になるとトンネルの掘削技術が進歩してきた事もあり、三江線の最後の未成区間だった
浜原〜口羽間はトンネルと高架橋による徹底的なショートカットで建設を進めていった。宇都井はそんなショートカットの影響で生まれた駅なのである。
トイレは地上にあるが駅の待合室はホーム側にあるので、トイレに行きたいと言う場合は階段を上り下りする羽目になる。人によっては「100段以上も階段を上るのは疲れるからエレベーターをつければいいじゃん」と思われるが、1日4往復しか列車が走らず、日中で7時間も列車の来ない空白の時間帯、さらに典型的な過疎地帯で普段の利用者がさほど多くない路線なのでエレベーターを付けても利用機会がないと感じたので設置が行われなかったのであろう。(確かに機械は全然使わないと逆に壊れてしまうのだが・・・)
駅の立地の珍しさからこの宇都井は静かながらも人気があり、駅に設置されている駅ノートの書き込みも老弱男女問わず、色々な人の書き込みがあり賑わっている。本来鉄道と言うと電車の方に目が行ってしまいがちだが、駅に興味を持っている人が何気にいるんだなと感じてしまった。
(2003.1.8)