「秘境駅へ行こう!」でおなじみの牛山隆信氏が今訪問を勧めている駅が安牛である。塗装が剥がれてボロボロになっている貨車駅だが、ホーム入線時におけるわずかな曲がり具合と貨車が置いてある部分にコンクリートの大きな土台を見ると、かつては交換設備と立派な駅舎があったのが推測できる。

 安牛の駅から道道へ向かう駅前通りを見てみると、周りには人はおろか建物が全くない。道路を歩いてみたら、道端にゴミの集積場が一つポツンと置いてあるだけだ。

 駅前通りと道道の交差点には駅の方向を案内する標識があるが、それも大きく傾いていて、すっかり存在の意義がすっかりなくなっているようにも感じた。標識の反対側に安牛で唯一といっても良いくらいの建物がある。今は集会所となっている建物は記念碑を見てみると、かつては小学校だったようで昔は安牛にも人がいたということがうかがえる。

 安牛に置いてある駅ノートを見てみると、実際この辺りは集落が存在していたが、JRになってから徐々に人が離れて行って最終的な結末が全くの無人地帯となったわけである。

 駅周辺に誰もいなくなった安牛ではあるが現在は1日3往復、時間が来たらきちんと停車してくれる。15時2分に下車して16時2分に乗車するのが最もベストな方法であろう。

 長年利用価値が少ない駅を降りてきて、廃止された駅を見てきた牛山氏だからこそ訪問を強く勧めるのだと思うし、私も安牛がいつまでも残っている保証がどこにもないと言っておく。行けるなら今のうちである。

 近年過疎化や少子化による人口減が叫ばれているが、安牛の駅周辺こそ過疎の最終形態というのをまざまざと見せつけられる形となった。

                                                            (2015.6.15)
ホームから見た安牛の駅前通り。
貨車駅の安牛。塗装が剥がれボロボロの感じである。
Yasuushi
安牛
周囲には建物がほとんど無くなって無人地帯となった安牛


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道道から撮った安牛の駅前通り、建物が全く見当たらないのが良く分かる。
安牛のホーム。もう定期利用者は皆無かもしれない。