◇100台の車椅子、スリランカへ届け−−工業高校生、中古品を修理
インド洋大津波で多くの負傷者を抱えるスリランカへ、自分たちが修理した中古の車椅子100台を届けようと、工業高校生たちが準備を進めている。全国35校の工業高校からなるボランティア団体が企画。現地からの要請を受け、来月中旬の輸送を目指す。高校生たちは「技術を生かし、一人でも多くの被災者を応援したい」と話している。
この団体は「空飛ぶ車いすを応援する会」(事務局・東京)。6年前から12カ国に1000台を超える車椅子を贈ってきた。スリランカへも、計74台を提供してきた。
その受け入れ先だったスリランカ南部カルタラ県の児童養護施設「少年の家」と連絡が取れたのは、津波から3日後の先月29日。M・アーリヤダーサ施設長(49)は「足を負傷したり、衰弱して動けなくなった人にとって、食べ物の次に車椅子がいま必要だ」と、同会事務局の佐々木俊一さん(50)に訴えた。
これを受け、同国へ100台の緊急支援を決定。福祉施設などから不要となった車椅子が集まり、生徒たちがパンクしない特製タイヤに交換する作業を続けている。
海上輸送費約70万円が必要。同会(電話03・3846・2172)では書き損じなど未使用の官製はがきの提供を呼び掛けている。【川俣享子】
毎日新聞 2005年1月14日 東京朝刊◇僕たちの車椅子、被災者に届くんだ−−工業高生に全国から支援
インド洋大津波によるスリランカの負傷者らのために、中古車椅子の修理を続けている全国の工業高校生のボランティア団体「空飛ぶ車いすを応援する会」(事務局・東京)が、11日に東京湾から120台を海上輸送することになった。現地には3月上旬に到着する。活動を紹介した毎日新聞の記事(先月14日朝刊)を見て、ジブラルタ生命(本社・東京)と日本郵船(本店・東京)が輸送費援助を申し出た。書き損じの官製はがきなどの支援も約180万円に上り、同会はタイやインドネシアの被災者への緊急支援も検討している。【川俣享子】
「素晴らしい行動に拍手を送ります」「高校生の思いに感動した」。最も多い30台以上の修理を担当する東京都大田区の私立大森工業高校(井上皓司校長、生徒数821人)には、はがきとともに激励の手紙が届いている。娘がスリランカで被災しながら無事帰国したという都内の女性や、新潟県中越地方の女性からも。2年生の新堀善紀さん(17)は「好きで続けている活動が認められ、うれしい」と張り切っている。
同校には「手伝いたい」という地元自治会メンバーや中学生らの声も寄せられ、6日午後1時から体育館で、100人規模の最終修理活動を予定している。
受け入れ先となるスリランカ南部カルタラ県の児童養護施設「少年の家」のM・アーリヤダーサ施設長(52)は「こちらでは車椅子は高価で買えない。津波でけがをした人も被災した障害のある子供たちも皆、心待ちにしている」と喜んでいる。
同会(03・3846・2172)は全国35の工業高校などからなり、6年前から13カ国に1000台を超える車椅子を贈ってきた。今回は、交流のあったアーリヤダーサ施設長からの要請を受けてスタート。福祉施設などで不要になった車椅子を譲り受けて修理するとともに、書き損じの官製はがきを集め、切手と交換するなどして、輸送資金を集めている。今回の輸送費は約70万円という。
毎日新聞 2005年2月6日 東京朝刊
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ドナー側に手術給付金の道つける
プルデンシャル生命保険株式会社(本社 東京都千代田区、社長兼COO三森 裕)は、財団法人骨髄移植推進財団(本部 東京都千代田区、理事長 正岡 徹)のドナー登録推進活動を全面的に支援するため、骨髄提供者(ドナー)が骨髄幹細胞採取手術を受けた場合に医療保険及び各種入院総合保障特約より給付金を支払うという新しいサービス「骨髄ドナー給付(ドナー・ニーズ・ベネフィット)」を、4月22日から開始すると発表しました。これは、生命保険業界初というだけでなく、弊社の規制緩和要望が契機となり、保険業法施行規則に新たな条文を追加することで実現の運びとなったものです。
骨髄移植は、白血病などの血液難病を治す治療法ですが、移植手術を行うには、患者とドナーのHLA(白血球の血液型)を一致させる必要があります。このHLA適合率は兄弟姉妹間でも4分の1であり、非血縁者間では数百分の1から数万分の1という非常に低い確率と言われています。
こうした血液難病の患者を、骨髄移植によって救うために設立された(財)骨髄移植推進財団(1991年12月設立)の活動によりドナー登録者数は204,710人(2005年3月末現在。ドナー登録者目標30万人)に増加していますが、実際にはドナー適合者が見つからずに“助かる命”を落としてしまう患者は決して少なくないのが実情です。
弊社は、このような課題に真剣に取り組んでいる骨髄移植推進財団を応援し、ドナー登録者を待ち続ける患者らの一助となればとの思いから全力をあげて支援することを決定いたしました。
骨髄を提供する際にはドナーの方に多くの負担が生じます。具体的には、(1)全身麻酔を要する骨髄幹細胞採取手術であること、(2)骨髄幹細胞採取手術のため約4〜5日間の入院が必要なこと、などです。企業の中にはドナー休暇を設けているところもありますが、まだ広く日本の社会に浸透しているとは言えず、かなりの負担が個人に強いられているのが現状です。
これまで、骨髄を移植される側(患者)は、医療保険および各種入院総合保障特約の手術給付対象となるのに対し、ドナー側は“治療を直接の目的としない手術”であるとの解釈から手術給付金の支払い対象にはなっていませんでした。
新サービスは、弊社の医療保険契約および各種入院総合保障特約に加入する保険契約者を対象に、一切の追加負担を求めることなく被保険者が骨髄幹細胞採取手術を受けた場合に、入院給付金日額の20倍の手術給付金を支払う――というものです。なお、公序良俗の観点から、新規の契約者については責任開始日から1年以内は同給付の対象外とし、手術給付金の支払いは保険期間を通じて1回のみとなります。
民間企業のこうした動きに対して骨髄移植推進財団の正岡徹理事長は、「プルデンシャル生命保険のこのたびの新サービスの提供は、私どもの活動、そして患者とドナー双方にとって大きな朗報といえます。こうしたご支援により、ドナーの方の不安が少しでも軽減され、また骨髄移植推進財団の活動がより多くの国民の皆様に理解されることを心から望んでいます」と感想を語っています。
また、プルデンシャル生命保険の社長兼COOの三森 裕は「このたびの骨髄ドナー給付サービス(ドナー・ニーズ・ベネフィット)は、一社員の熱い思いから約3年かけて誕生したものです。日本骨髄バンクが掲げる30万人のドナー登録者目標が一日も早く達成されますよう応援していくつもりです。弊社が13年前に導入し、いまや保険界のサービスとしてはあたりまえの存在となった『リビング・ニーズ(生前給付)特約』のように、このたびのサービスが社会に普遍的に広まっていくことを心から願っています」と抱負を語っています。