この道 : 国道22号線





 国道22号線は、愛知県名古屋市と岐阜県岐阜市を結ぶ道路で、名岐道路の通称で呼ばれる。全長は37.0kmと、決して長い道のりの道路ではない。しかし、名古屋市は中京地区の中核都市だし、岐阜市も岐阜の県都である。さらに経由地には名古屋市の衛星都市的性格の街があり、名神高速道路と東海北陸自動車道、東名阪自動車道と言う三つの高速道路とも交差するため、全線交通量が多く、基幹道路としての重要性は高い。
 起点は国道19号線と同じ熱田神宮南交差点。国道1号線との交点である。名古屋市中区丸の内の日銀前交差点までは19号線との共用区間となっている。この共用区間は約6km続く。19号と分かれてから少し先、中区三の丸交差点あたりまでは、片側4車線以上の幅員の広い道路である。



名岐道路の名が示す通り、名古屋と岐阜を直線で結ぶ唯一最大の道路と言ってよいが、江戸時代にはむしろ、熱田と垂井を結び、現在の22号からは大きく外れたコースを通る美濃路の方が重きをなしていたようである。
 愛知県図書館を左手にやり過ごしながら少し進むと、三の丸交差点付近では、右手前方に一瞬だけ名古屋城が見える。名古屋市能楽堂の敷地内に建てられた加藤清正像の肩越しに城を見える感じになるだろう。
 とは言うものの、この交差点はほぼT字路になっていて、国道22号線を岐阜方面に向かう場合は名古屋城とは反対方向に進まなければならない。この交差点で信号待ちにでもならない限りは、悠長に城を眺めている時間は無い。
 三の丸交差点を左方向へ進むと、道沿いから目立って背の高いビルが姿を消す。道幅は広いため、車窓からの風景はどことなく間延びした印象を与えるものかもしれない。
 道はしばらく直進した後、上更交差点で右折、そこから少し進んだ康生通3丁目交差点で左方向へ折れ、さらに上堀越町交差点でもう一度左折する。ほとんど直線のこの国道では異例とも言える曲がりの多さだが、ここからは終点間近までずっと直進。庄内川を渡って西春日井郡西枇杷島町へ。




 名古屋城の再建天守は確かに巨大で、金のしゃちほこも印象的だが、文化財としての価値は、戦災を免れて今に残る隅櫓にこそある。
 名古屋市を出たあたりから22号線の工事が始まる。庄内側にかかる新名西橋の緩いスロープを登り始めた時、高架道路の巨大な橋梁の終端部分が視界に飛び込んできた。ただ、この高架道路は現時点(2003.11)ではまだランプが設置されていなかった。
 幹線道路の工事自体はさほど珍しいものでもないが、この22号線の工事はもう数年来続く長期の工事である。道路幅の拡張や車線の引きなおしを経て、最近では登り車線と下り車線の間に巨大な橋梁が設置されつつある。22号線は交通集中のため、慢性的な渋滞に悩まされていたようだ。主にそれを解消するための工事なのだろう。
 道は新川町、清洲町、春日町、西春町と目まぐるしく走り抜けながら北を目指す。途中の清洲町には東名阪自動車道の清洲東ICがある。



 この高架道路は高速3号北部。名古屋市西区のはずれから東名阪自動車道との交点である清洲JCT(建設中)を一直線につなぐ。
 高架道路建設工事は一宮市に入っても続く。清洲から先は名岐道路(高速16号一宮線)が一宮市富士3丁目交差点まで設置される予定のようだ。現在、東から伸びてくる東名高速道路の名古屋IC、および長野方面からの車が名古屋に入るのに利用すると思われる小牧ICから先は、都市高速(名古屋ICからだと東名阪経由)が名古屋の中心市街にまで伸びているが、関西方面からの車は少し回り道をしなければ都市高速に入れない。22号線で行われている工事は、関西方面から名古屋市街への直通ルートを確保するためのものでもある。
 22号線は前述の通り3つの高速道路と交差する道である。そのためかどうか一宮市前後では、沿道にガソリンスタンドとレストラン・食堂の類が非常に多いのが特徴と言えるだろうか。また一宮市に入ったあたりで、ただでさえまっすぐ伸びているこの道は、いよいよカーブをしなくなる。両郷町交差点から東海北陸自動車道の一宮木曽川IC付近までは運転席から目視できる直線道路が壮観である。ただし、小さな起伏はそこそこある。
 なお、『一宮市』の名が示す通りここには尾張一の宮・真清田神社(尾張大国霊神社)がある。何となく熱田神宮の方に名が売れているイメージはあるが…。



 名神高速道路は名古屋市の北を迂回するようにして、小牧市に入る。小牧ICは名古屋の北に位置するが、ほとんど直線の道路で名古屋の都心と結ばれている。小牧ICから東は東名高速道路で、小牧JCTは中央自動車道との分岐。東名名古屋ICは名古屋市内の東端に位置する。
 一宮市の北隣、葉栗郡木曽川町を抜けると木曽川にかかる新木曽川大橋に差し掛かる。ここから先はもう岐阜県である。
 岐阜県最初の街は羽島郡岐南町だが、普通に走ればものの2分もしないうちに走り抜けてしまう。その先は岐阜市。木曽川を越えたところで前方に岐阜城のある金華山が見えてくる。しかし、ここまでひたすらまっすぐ伸びてきた国道22号線は、国道21号線との交点でもある岐南交差点で西へ向かう。終点までほんの少しの間だが、21号22号重複区間だ。


 木曽川はその名の通り木曽の山奥から流れ出してくる。長良川、揖斐川を含めた木曽三川の代表格といってよいだろう。
 22号線よりも下流域は、木曽三川の水害と戦い続けてきた地域である。
 国道22号線の終点は岐阜市内にある茜部本郷交差点である。ここは福井県経由で石川県金沢市まで延びる国道157号線との交点でもある。また、21号線はこの先の滋賀県坂田郡米原町まで続いている。左写真は157号線側から同交差点を撮影したもの。
 さて、実は22号線の終点については若干の不審が残る。信頼の置けそうなソースからはおそらく茜部本郷交差点を終点と考えてよさそうなのだが、ネット検索では少なからず東興町2丁目交差点を終点としているものが見つかった。
 ただ、番号こそそこそこ若いが全線でも40km未満のお手軽国道なので、あまり深くは追及しないことにする。走破した感動が薄いとこんなところで差別されてしまうのだなあ。



 上が疑惑の「終点」写真。金華山の麓にある。





ロケ地:名神高速道路大津SA
今回使用した車
スパシオ(排気量:1500cc)

国道22号線総括
 22号線は観光用道路と言うよりも、産業道路であり、経由地の生活にも密着した基幹道路。
 全線街乗りなので搭乗する車に高スペックは必要ない。道も広いので小型車でなくとも良い。軽でもトラックでもなんでもござれ、である。


▲BACK