番外編・私が暮らした金沢
1998年4月7日〜2002年3月22日




 金沢と言えば兼六園である。としたり顔で書いておきながら、4年間暮らして兼六園にいったのは入学式の直前、引っ越してきた翌日の一回きりであった。自転車で10分かからないようなところに住んでたのに。

 金沢=兼六園はかなり安直ではあるが、他県からやってきて1人暮らしをしている友人の多くは、地元の友達や親御さんが金沢に遊びに来た場合、とりあえず兼六園に行き、後はどこを案内していいのか考え込むパターンが多いようだ。あまりに身近にあると意外とそういうことになりがちなのである。そんなこんなで金沢市内観光はほぼしていない。

 金沢は古い城下町の名残を今も残している街である。そのせいで道は狭く、正直道路事情はあまり良くない。実家が愛知県と言うこともあってはっきり言って地獄の交通事情である。愛知県の道路舗装率は日本で一二を争う高水準らしい。また道は比較的広く、まっすぐである。特に名古屋などは、東京や大阪から来た人が見ると、道が異様に広く感じるらしい。確かにだだっ広い。とにかく、金沢は日常生活でもいまいち車が使いにくいような環境である。しかも、石川県民の運転はなかなか剛毅と来ている。地元民でもなければ車は却って身軽な移動の妨げになるかも。なので、旅行者の方、アクセスは電車利用もアリです。市内の主要観光スポットはそんなに広範囲には散らばっていないので駅近くの駐車場に車を停めて、駅のレンタサイクルであちこち回るのが無難なのではないか。駐車料金は大都市に比べればかなり安くて、駅ならば土産物もひと通り揃ってるし。

 金沢と言えば治部煮とかの加賀料理が有名だが、学生の身分ではついぞ食べる機会がなかった。余談になるが、治部煮の「治部」なぜ治部なのか良くわからないらしい。個人的にはずっと石田三成の治部だと思っていたのだが、「じぶじぶと煮る」とか「治部佐衛門」の考案だからと言うのが有力説のようでだ。変わったところでは「ジヴィエ」から来ていると言う説もある。ジヴィエは鴨とか鹿とかのわりと野趣の強い肉を使った料理の事で、治部煮も確か鴨を材料にすることがあったようななかったような。加賀市近辺の人は特に鴨を食うらしい。

 高級料理はわからないが、橋場町にあるラーメンの「若大将」さんは聞くところによるとうまいらしい。実際に行く機会は残念ながらなかったのだが、店の前は数え切れないほど通り過ぎていた。特にチャーシューが絶品で、これだけは少し食べる機会があった。の味を伝えるだけの表現力が無いのが悔やまれるが、そのにおいだけでも空腹時には嗅ぐに耐えないほどのうまそげなものであった。

 ちなみに、橋場町からは卯辰山が近い。個人的には日が落ちてから、橋場町方面から見る卯辰山の光景が意外に幻想的でオススメである。雨の時は特に。雪が本格的に降り出す前の12月くらいならほとんど毎日雨なので、割と簡単に件の光景が見られる。ちょうど東茶屋街も近いし、なかなかいい感じなのでは。

 金沢のお土産と言うと、輪島塗とか九谷焼とか、加賀友禅、絢爛豪華なものが多い。他に加賀象嵌など。個人的には「中島めんや」さんの郷土玩具が好き。

 あと和菓子もかなり充実している。私が買った中では、「森八」さんの金つばがかなり好評だった。

 意外なところで「不室屋」さんの麩がいいのではないか。デパートのお歳暮商戦のときにバイトをしていたことがあったが、実は各種の麩相当出ていた。現物を見せたことはないが、かなり「魅せる」麩らしい。華やかで見た目に楽しい仕掛けもあるとか。

 金沢に限ったことではないが、冬場の北陸のお土産はまず何を置いてもカニ、という感じである。太平洋岸の人間はかなり理そう思っているのではないだろうか。で、金沢でカニと言うと近江町市場と言うことになるのではないだろうか。実際、特に値引き交渉とかはしなくても、まとめ買いするだけでカニ一匹の単価が安くなったり、甘えびとかなまことかのおまけをつけてくれたりする。値札はあってないようなもの、といっても過言ではない。ただ、やっぱり車で行くのは不便な場所かもしれない。駐車場はあるが結構入りにくい。

 そこで車の方に朗報。北陸自動車道の金沢より福井寄り、松任市にあるハイウェイオアシス徳光・車遊館でもかなり海産物は充実している。値引きもしてくれるしおまけもつけてくれる。味や鮮度は良くわからないが、多分問題ないと思う。少なくともかなりの食通の方でない限りは大丈夫、なはず。車遊館ですが、下道からでも行ける。金沢西インターから車で片道20分ほど。一つだけ気になるのは店の人が「おおきに」と言ったことか。金沢の人はおおきにとは言わない。果たしてどういう素性の人なのか・・・。