■2014年2月号

今月の潮流
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バイオジャーナル

ニュース


●アジア事情
●中国で米国産トウモロコシまたも入国拒否

 中国上海でまたも米国産トウモロコシが入国拒否された。飼料に用いられるバイオ燃料用トウモロコシの滓に、昨年入国拒否されたのと同じ、中国では未承認のシンジェンタ社の「MIR612」が含まれていた。〔CNBC 2014/1/2〕

●中国へのGM種子密輸発覚

  GM種子の密輸入が発覚し、国家安全保障を脅かすとして中国政府は警戒を強めている。密輸されていたのは、タイと香港から入ったと見られる、モンサント社とシンジェンタ社のGMトウモロコシで、湖南省の農家が栽培していた。2003年から密輸していた広東省の種子会社社長など関係者が逮捕された。〔South China Morning Post 2014/1/6〕
●南米事情
●アルゼンチンでモンサントの工場建設差し止め判決

 アルゼンチンの北部中央・労働控訴裁判所は1月9日、コルドバ州中央部で建設中のモンサント社の種子工場について、環境アセスメントが終了するまで建設を差し止める判決を下した。アルゼンチンではかねてからモンサント社のGM作物に使用される農薬によって健康被害が広がっているため、環境保護団体が提訴していた。〔Russia Today 2014/1/9〕
●北米事情
●フロリダ大がGM樹木に反対する環境保護団体排除

 米国フロリダ州フロリダ大学で、「Global Justice Ecology Project」など3つの環境保護団体が共同でGM樹木に反対する講演会を開催しようとしたところ、大学当局によって禁止されただけでなく、空いている教室を利用しようとすると排除され、3年間キャンパスへの立ち入りを禁止される処分を受けた。この一連の弾圧にはFBIもかかわっていることが判明した。フロリダ大学はGM樹木開発のベンチャー企業ArborGen社と共同で、バイオ燃料用樹木の開発を進めており、2011年にはエネルギー省から3年間630万ドルの助成を受けている。〔Earth Island Journal 2013/12/18〕
●GM樹木
●オレゴン州立大学がGM樹木開発

 米国オレゴン州立大学森林遺伝学者スティーブン・シュトラウスらが新たなGMポプラを開発した。このGM樹木は成長が早く、害虫への抵抗力を持たせたものだという。現在、GM樹木を実際に植えているのは中国だけで、米国ではまだ商業栽培は行われていない。〔Phys.org 2014/1/7〕
●GM昆虫
●新たなGM昆虫の環境影響評価

 米国ミネソタ大学の昆虫学者デービッド・アンドウらが、GM昆虫の野外放出が生態系に及ぼす影響について、新しい評価方法を発表した。論文は、「エコロジーとエボリューション」誌に掲載された。現在、世界各地でGM蚊が野外放出されているが、環境影響評価が粗雑であるという批判があった。新しい評価方法では、定常状態だけでなく、人口の変動などの長期的な変動を含めて評価する。〔The Almagest 2014/1/2〕
●省庁動向
●食品安全委員会がGMスウィートコーン承認

 食品安全委員会の遺伝子組換え食品等専門調査会は11月5日、除草剤耐性と殺虫性スウィートコーン「MON88017系統」と、殺虫性スウィートコーン「MON89034系統」を安全と評価し、同本委員会が1月6日に承認した。8日から意見募集が開始された。いずれも米国で生食用として流通しており、日本でも生食用として出回る可能性がある。

●「名古屋議定書」検討会が報告書案まとめる

  2010年10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において、条約の大きな柱の一つである「遺伝資源から得られる利益の公正で衡平な分配(ABS=Access and Benefit Shearing)問題に関する名古屋議定書」が採択された。現在日本では、議定書の批准に向けて関係省庁による協議を進めているが、その中心である環境省が設置した「名古屋議定書に係る国内措置のあり方検討会(座長:磯崎博司・上智大学大学院教授)」がこのほど「同検討会報告書案」をまとめ、12月27日より一般からの意見を募集している。検討会では、これまで次の4項目について検討してきた。@他の締約国ではABSに関してどのように国内法遵守を図っているのか、A遺伝資源の利用の監視はどのようにすればよいか、B日本の遺伝子資源を取得する際に機会の提供はどのようにあるべきか、C普及啓発はどのようにすべきか。

ABS問題は、遺伝資源から生じる利益の還元を迫る途上国と、できるだけ小さく押さえようとする先進国間の対立がある。両者の対立点は大きく、名古屋会議では議定書合意の目途が立たなかったが、COP10議長国・日本政府が「議長提案」を行ない、強引に採択させた。「議長提案」は、途上国の主張をことごとく排除しており、その見返りとして、日本政府の20億ドルをはじめ先進国による供出金などで途上国支援を行なうとしている。今回の報告書案は、その「議長提案」の趣旨に沿い、産業界の意向に配慮したものになっている。