実務の友
年齢計算
よくある質問と答え


4月1日生まれは,なぜ早生まれか?
 小学校は4月1日から始まりますが,どうして4月1日生まれの子は当年就学になり,4月2日以降に生まれの子は翌年就学になるのですか。
 なぜ区切りのいい4月1日生まれの子を基準にして同学年にならないのでしょうか。


 学校教育法では,保護者は,「子女の満六才に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満12才に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校(中略)に就学させる義務を負う。」とされています。
学校教育法(昭和22年法律第26号)
 第22条 保護者(中略)は、子女の満6才に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満12才に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校(中略)に就学させる義務を負う。(後略)
 第39条 保護者は、子女が小学校(中略)の課程を修了した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満15才に達した日の属する学年の終わりまで、これを、中学校(中略)に就学させる義務を負う。
   (注)原文は,縦書き,漢数字表記であるが,これを横書き,アラビア数字表記に修正している。以下同じ。
     学校教育法では,「歳」は,「才」と略字で記載されている。
 そして,現在,小・中・高校,大学の「学年」は,学校教育法施行規則により,「4月1日に始まり、翌年3月31日に終る」と定められています。
学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)
 第44条 小学校の学年は、4月1日に始まり、翌年3月31日に終る。
 第55条 (中略)第44条(中略)の規定は、中学校に、これを準用する。(後略)

 これを子どもからみれば,「満6歳になった日の翌日以後における最初の学年の4月1日から」小学校に入学する,ということになります。

 それでは,子どもが「満6歳になった」というのはいつか,というと,年齢は,年齢計算ニ関スル法律により,「出生の日より起算」(同法第1項)し,「起算日(出生日)に応答する日の前日をもって満了」し,年齢が加算されることになっています(同法第2項,民法143条準用)。
 年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)
(1) 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
(2) 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
(3) (略)
民法143条(暦による計算)
(1) 期間ヲ定ムルニ週,月又ハ年ヲ以テシタルトキハ暦ニ従ヒテ之ヲ計算ス
(2) 週,月又ハ年ノ始ヨリ期間ヲ起算セサルトキハ其期間ハ最後ノ週,月又ハ年ニ於テ其起算日ニ応答スル日ノ前日ヲ以テ満了ス但月又ハ年ヲ以テ期間ヲ定メタル場合ニ於テ最後ノ月ニ応答日ナキトキハ其月ノ末日ヲ以テ満了日トス
 これは,生まれた時刻が何時かを一切問わず,その生まれた日を第1日目として年齢を計算し,誕生日の前日深夜12時限りを以て年齢を1つ加算することを意味します。
 生まれた日と同じ月,同じ日が巡りくれば子どもの誕生日を祝う日常生活の感覚からは,4月1日に生まれた子どもは4月1日に満年齢を1つ加えるようにも思われますが,法律的に厳密に意味で年齢を加えるのは,その前日の満了ということになるのです。

 以上の解釈から,4月1日生まれの子どもは,前日の3月31日の深夜12時を迎えた瞬間に年齢を1つ加算されるのであり,「満6歳に達した日」はあくまでも「3月31日」であり,その翌日は4月1日ということになります。
 ここで3月31日24時は4月1日0時のことですから,「4月1日から満1歳」という理解も成り立ち得るわけですが,法律上加齢される日は3月31日,その翌日は4月1日という解釈になるのです。
 したがって,小学校に入学できるのは,前記のとおり「満6歳になった日の翌日以後における最初の学年の4月1日から」ということであれば,4月1日生まれの子どもは,3月31日の満了で満6歳に達し,その翌日4月1日にはこの要件に見事合致し,その年4月1日から小学校に入学できることになるわけです。
 一方,1日遅く4月2日に生まれた子どもは,その前日4月1日の満了(深夜12時到来)により満6歳になったのであり,その翌日は4月2日となりますから,学校教育法により「満6才に達した日の翌日以後における最初の学年の初め」に就学するとなれば,1年先,つまり翌年就学にならざるを得なくなる,というわけです。
 これにより,「早生れ」は,「(小学校入学の年が、4月1日以前と2日以後で区切られることから)その年の1月1日から4月1日までの間に生れること。また、その人」(広辞苑)を意味することになります。
 この「早生れ」をめぐる問題については,平成14年に国会で質疑応答がありましたが,以上の解釈は動かないものとなっております。(国会答弁参照)【→読む】

 この年齢の数え方は,さまざまなケースに適用され,少年法では,20歳の誕生日(起算日)の前日午後12時までは「少年」,その後は「成人」と判断されます。
少年法(昭和23年法律第168号)
 第2条 この法律で「少年」とは、二十歳に満たない者をいい、「成人」とは、満二十歳以上の者をいう。
   (注)少年法上の年齢計算についても,出生の日から起算すべきである(大阪高判昭和29.2.9高刑集7-1-64)

 また,国民年金法による老齢基礎年金の受給権の発生については,1日生まれの場合は当月分から発生するものの2日以降生まれは翌月分から発生したり(同法26,18),ほかに老人保健法の老人医療制度適用開始時期(同法25)等においても,同月でありながら1日生まれと2日以降生まれとでは異なった取り扱いを受けるという場合が生じます。
 なお,選挙権は公職選挙法で満20歳以上の人に認められていますが,判例(大阪高裁判昭和54年11月22日,最高裁判昭和55年8月26日)において,年令は選挙の「期日」により算定するとされている(公職選挙法10条2項)ことから,その日の午前0時以降の全日を含むと解されており,投票時点では未だ19歳の人も選挙権が行使できることになります。政府も,「従来から一貫して行われてきた取扱い」として認めています。(国会答弁参照)【→読む】


期間計算の一般原則【→読む】
年齢計算に関する法律【→読む】
年齢計算に関する国会答弁(第154回国会 衆議院「年齢の計算に関する質問」(平成14年)) 【→読む】
4月1日生まれの子どもは早生まれ? (参議院法制局・法制執務コラム集) 【→読む】
2003/02/09-2005/01/16

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