5W1Hは実務の友
実務の友   Whシンキング

 知的生産というのは、
頭をはたらかせて、
なにかあたらしいことがら−情報−を、
ひとにわかるかたちで提出することなのだ、
(梅棹忠夫著「知的生産の技術」)

----------  目   次  ----------
  (1) 5W1H
(2) 6人の賢者
(3) 仕事の発想とチェック
(4) 危機管理の発想
(5) 創造的な発想
(6) 国語力の育成
  (7) 法律実務と5W1H
(8) 起訴のための八何の原則
(9) 捜査のための八何の原則
(10) 「が」と「は」の使い分け


 

(1) 5W1H
 新聞記事の書き方には,5W1Hという原則がある(注1)。
 社会の出来事は,結局「何が何して,どうなった」と表現されるが,これには,
いつ(When) どこで(Where) 誰が(Who) 何を(What) なぜ(Why) どうやって(How)
か,この5W1Hを書き漏らさない,ということである。
 例えば,ある日の新聞記事は,次のような書き方である。
 「28日午前11時ごろ,○○町の○○鉄道○○線の踏切で,ダンプカーの荷台が上り線の架線に接触した。けが人はなかった。この影響で○○線は上下45本が運休した。
 ○○署の調べでは,ダンプカーは近くの作業現場で砕石を下ろした後,荷台を上げたまま踏切を通過しようとして架線にひっかかったという。運転手の男性(62)が荷台を下げ忘れたらしい。」
 5W1Hは,「何時(いつ), 何処(どこ)で, 何人(なんびと)が, 何を, 何故に, 如何(いか)にして」ということであり,「何」が六つあることから,六何(ろっか)の原則とも言われる。
 社会の出来事を新聞記事として客観的に的確に伝えるには,文章作成上,これらの構成要素をきちんと押さえることが大切であるということを教えている。
 しかし,5W1Hが求められるのは,何も新聞記事の書き方に限らない(注2,3)。
 ビジネスのコミュニケーションは,キャッチボールのようなものであり,人と人との間の意思と情報が確実に伝達し合うことが大切である。
 その意思と情報が確実に伝達し合うためにも,情報の整理(文章表現)と伝達(報告・連絡)の場面で,5W1Hは,重要な役割を担う(注4)。とりわけ,出来事(事実)の報告・伝達には,5W1Hは欠かせない。
(注1) 記事の書き方として5W1Hを説くもの
 (1)  田村紀雄・林利隆・大井真二編「現代ジャーナリズムを学ぶ人のために」(世界思想社2004年5月92頁)
 (2) 大石 裕・岩田 温・藤田 真文著「現代ニュース論」(有斐閣2000年11月100,180頁)
 (3) 共同通信社「記者ハンドブック(第10版)」(2005年3月・10頁)
 (4) 中央公論新社「読売新聞 用字用語の手引」(2005年2月10頁)
 (5) 時事通信社「最新用字用語ブック(第5版)」(2006年6月・548頁)等参照
 なお,(3)の「記者ハンドブック」は,「もう一つのW」として,「記事が読者に対して持つ意味・値打ち(Worth)の検証も大事だ」としている。

(注2) テレビ放送のニュース原稿の書き方で5W1Hを説くもの
   福島中央テレビ(5W1Hの発音付き)

(注3) 作家・元日本経済新聞論説主幹の水木楊氏は,あらたにす(2008年07月02日付け)「コラム記者と作家の文章術」の中で,「新聞社内で「雑報」と呼ばれる殆どのニュース記事は、Who、When、Where、Whatの順に並んでいるのです。ときにWhereの入らないこともありますが、Who、When、Whatは必ずこの順で入っています。」「文章のうまさとは、この5W1Hの語順と語尾をいろいろ使いまわすことができるということなのです。」と述べている。

(注4) 語源を調べると,古英語(初12〜15世紀)では,5W(When,Where,Who,What,Why)の綴りも,実は「H」から始まっていたという。
古英語
  なお,5W(When,Where,Who,What,Why)1H(How)等は,"wh-words"と総称されているようである。
(参考文献)
 「ジーニアス英和大辞典」(大修館書店2001年)
 下宮忠雄・金子貞雄・家村睦夫編「スタンダード 英語語源辞典」(大修館書店1989年)

この項の続きは,
  「コートマネージャーとしての裁判所書記官」
( 2019年6月16日 新日本法規出版株式会社発売)
裁判
に移行しました。


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