10/09/2003(Thu) 1st stage at Osaka Blue Note 斑尾Jazz Festivalから2カ月。斑尾での興奮も冷め切らないうちに、早くもCandy Dulfer(以下キャンディさん)が、自身のバンド「Funky Stuff」と共に再来日を果たした。 4月に発売された新アルバム『Right In My Soul』を引っさげた今回のジャパン・ツアーは、福岡(2日間)、大阪(3日間)、東京(6日間)、そして名古屋(3日間)というロングステイ。サックスだけでなく、豪快に歌いまくるキャンディさんのパワフルぶりを改めて感じる事ができるツアーだったように思う。 大阪公演の初日。連日アホみたいに残業しまくっていた私は、「いーぢゃん、最近これだけ頑張ってんだから」という理由で(←こじつけとも言う)、突然「アタシ帰ります」と宣言し、昼から会社をサボっ....いや、休みを取った。一応、もっともらしい理由をつけて半休を取ったのだが、どんな手を使ったのかはあえて非公表とさせていただく(←アヤシいな、おい) 14時半頃に現地へ到着すると、そこにはすでにBさんの姿が。 「さっきトーマスが店に入っていったよ。僕らの事、覚えてくれてるみたい。握手してくれた」 「えー、それって疑わしいですよ。握手してもらったっつっても、ファンサービスかもしんないし」 飽くまで楽観的なBさんと、限りなく懐疑主義なAmandaさん(笑) ま、今は忘れられていても、あの最終兵器を目にすりゃイヤでも思い出すだろーよ、と、斑尾で大活躍したバブル・サックス(←斑尾レポートday2に画像が載ってますので、そちらをどうぞ)を持参していたBさんと私はニンマリと笑った。 さすがに14時半だと、他に並んでいる人は誰もいない(←早すぎだろ・苦笑) Bさんと私は、キャンディさん&ファンキー・スタッフの全メンバー用のプレゼントを仕込みながら(笑)待ち時間を過ごした。 整理券1番という、まこと素晴らしい番号をゲットした私達は、最前列センターのいわゆる「かぶりつき席」に座る事ができた。私達のテーブルのわずか30cm先はステージである。うわ、こんな席で生キャンディさんのプレイが聞けるんや!! そう思うだけで心臓バクバク、喉はカラカラ、である。 先にファンキー・スタッフのメンバーがステージに登場し、ひとしきり拍手が止んだところで一曲目がスタートした。「Ladies and Gentleman, Miss Candy Dulfer!!」というコールと共に、「コンバンハ、オーサカ!!」というキャンディさんの一声。その瞬間、観客が一気にライブワールドへ引き込まれていくのがわかる。ほどなく、サックスを手にしたキャンディさんが客席後方から現れた。 おりょっ、キャンディさん痩せた!!!! 明らかに彼女は、斑尾の時と比べて格段にスリム化していた。うっひゃー、ものっすごウツクシーではないですか!! それになんだ、なんなんだこのセクシーっぷりは!? とにかく、同性でもホレてしまうぐらいのカッコ良さでございました。 ほぼ時間どおりに始まった大阪での初ステージは、なかなかの盛況ぶりだった。意外にもスーツを着込んだオジサンがたくさん観に来ていたのだが、雰囲気が盛り上がるにつれて、スーツおじさん達もためらいなく立ち上がって踊り狂っていたのにはビックリ。キャンディさんが「大阪ってファンキーよね」と言うのもわかる気がする(笑) 最前列は、なにかと面白い発見がある。キャンディさんが間近でサックスを吹いているというだけでも感激モノなのだが、フレーズの切れ目での息遣いが聞こえる度にゾクリとさせられたり、サックスの上をなめらかに滑る指の動きに見とれてしまったり。 そして何より、マイクを通さないナマのサックスの音が聞こえるのが嬉しい。彼女が少しかがんだ姿勢になると、ベル(=パックリ広がっている部分)の口がこちらに向くため、音がマトモに飛んでくるのだが、直線的なキツさが全く感じられず、とてもまろやかなのだ。わー、これがプロのナマ音なんだなぁ。 最後の曲は、キャンディさんファンにとってはすっかりお馴染みの『Sax-A-Go-Go』だった。「次がもう最後の曲なのよねー」と言うキャンディさんに、まるで『笑っていいとも!』の如く、観客(←含スーツおじさん達・笑)は「えーーーーっっっ!?!?!」とレスポンス。 「アタシもあと10曲ぐらいやりたい気分なんだけどね。でもその代わり.....」 「なになに?」 「最後の曲、め〜〜〜〜〜〜っちゃくちゃ長〜〜〜〜〜いわよぉ(ニヤニヤ)」 (観客爆笑) 「あんまり長すぎて、みんなきっと最後にはヨレヨレになってるハズ」 (↑ヨレヨレのジェスチャーつき) ......確かに、ホンマに長〜〜〜〜〜い『Sax-A-Go-Go』だった(笑) 終始そんな楽しげなノリの中、初日の1stステージは終了した。 ブルーノートでは、ステージが終わった後にアーティストからサインをもらったり、一緒に記念写真を撮る事ができる。しかしながら、この日はキャンディさんの体調が思わしくなかったようで、サインを希望する人達が持参したアイテム(CDジャケットなど)をスタッフが回収して楽屋へ持ち込み、キャンディさんがサインして希望者に返すという方法が採られた。あれだけサービス精神旺盛な彼女がファンの前に姿を現さないなんて、よっぽど疲れているに違いない。そりゃそーだろ、前日までは福岡でライブやってたんだもん。今朝大阪に来ていきなりライブじゃ、いくらなんでも疲れるって。 「どこにサインしてもらいますか?」と尋ねてきたスタッフに、私達は軽く首を振って答えた。 「あ、いえ、私達サインはいらないんです。代わりにこれを渡していただけますか?8月の斑尾ジャズ・フェスティバルで撮った写真なんですけど、ファンキー・スタッフの皆さん用のも一緒に入れてあるので、みなさんにって事で」 少し驚いたような表情を浮かべたスタッフは、プレゼントを手にするとすぐに楽屋へ姿を消した。「喜んでくれたらいいですねー」と、Bさんと話していると、先ほどのスタッフが楽屋から出てきた。彼女は私達の姿を見つけ、コソコソと近づいてくると、私達の耳元で静かにこう言った。 「実はですね、彼女がぜひお礼を言いたいと言ってるんです。他のお客様が帰られた後に楽屋へご案内しますので、しばらくお待ちいただけますか?」 げっ、うそっっっっっ!!!!!!!!!! この展開、予想外すぎるだろ!! 同じ場所で同じ空気吸ってるってだけでも満足なのに 楽屋へご案内だぁ!?!?!? 何がなんだかワケがわからないまま、Bさんと私は楽屋前に連れてこられてしまった。普段は動揺する事など滅多にない私なのだが、この時ばかりはさすがに膝が震えた。斑尾のバーに忍び込んだ時と全く同じ感覚である(もしかしたら私はここ一番という場面に弱いのかもしれない) どどどどどどどーしよう!?!? と、ビクビクしていると、カーテンがパサッとめくれて、にこやかにキャンディさんが現れた。 「ハロー!! アナタ達だったのね。『誰だったっけ?』ってひっかかってたんだけど、テーブルにバブル・サックスが置いてあるのを見て思い出したの。『斑尾に来てた2人だ!!』って」 あわわわ、キャンディさんだ(慌) めちゃ嬉しいけど、なんかこれって至近距離すぎてウソみたい 「きゃー、覚えててくれたんすかーーーーー!!!!(感激)」 (↑と言いつつ、緊張しすぎて足ガタガタなアタシ・笑) 「アルバムありがとー。後でじっくり見るね」 「どういたしまして。他にもFunky Stuffの皆さんと、パパさん(←父親のハンス・ダルファー。彼は昨年の斑尾jazzに参加していた)にもアルバム作ったんです。まとめて入れておいたので、オランダに戻った時に渡していただけますか?」 「ハンスにも? わーお、スゴイ!! 了解了解、渡しとくわ」 『パパさんに渡してください』....これってキャンディさんをパシリに使ってるって事か?(笑) 「体調悪いの?」 「うーん、ちょっと喉の調子がね。でも大丈夫、すぐ良くなると思う」 無理しないでー、先は長いんだから(←マジで心配) と、その時、Bさんがいきなりカタコトの英語で話し始めた。 「あのぉ、実はアルバムと一緒に青い紙を入れておいたんですけど.....」 「え、何なに?」 「僕からのお願いなんです」 キャンディさんは、その「お願い」とやらが書かれた青い紙を読み始めた。「.......なるほどね〜、いいわよ」彼女はBさんにニヤリと笑みを返した。一体何のハナシだろうと思っていたのだが、キャンディさんがボソッとこぼした「10月17日ね?」という言葉で、なんとなくハナシが読めた。 私事で恐縮なのだが、10月17日は私の誕生日なのである。私の推測に間違いがなければ、Bさんは恐れ多くもキャンディさんを巻き込んで10月17日に何かをしでかそうとしているらしい。私に何も言おうとしないところを見ると、おそらく私には内緒にしておきたいのだろう。そう思って、私はあえて問い詰めずに知らんふりをカマしていた。どっちにしろ17日にはすべてがわかる事だし、むしろ何が起こるかわからない方が楽しみだもんな。 「アナタ達、明日も来るの?」 「モチっすよ、明日と明後日は2nd観に来るし」 「そっかー!! 3日間とも来てくれるんだ。楽しみにしてるね」 「Tot morgen!!」 「そうそう、『Tot morgen』(笑)」 ここぞとばかりに覚えたてのオランダ語「Tot morgen(また明日ね!!)」を試してみると、キャンディさんとインゲさん(←マネージャーをなさっているキャンディさんのお母様)は、かなりウケていた(笑) 「明日はちゃんとライブの後にみんなと写真撮るわよ」 「うん、でも無理しないでね」 キャンディさんは、暖かくハグをしてくれた。 「Dank je wel, Amanda!!」(ありがとね、Amanda!!) 「Alstublieft!!」(どうしたしまして!!) 思ったより小柄だったなあ。背丈も私より一回り大きい程度だったし。 一同は「Tot Morgen!!」と、手を振って別れ、私達はスタッフの方にお礼を言って店を出た。 以上が初日の出来事である。「そんなの作り話だろ〜!!」と思われても仕方がないと思う。実際、私だって未だに信じられないんだから(苦笑) 特にこれと言った強い思い入れもなく、フラッと彼女のライブを見に行ったのが昨年の2月。それがキッカケで自分自身もサックスを習い始めたのだが、まさかこんな事になろうとは....人生って、どこでどう転ぶかわからない。 2日目のライブレポへ続く....。 |