Feb.2004








『Mystic River』(『ミスティック・リバー』)

ある出来事がきっかけで疎遠になってしまった男の子3人が、中年にさしかかった頃に再会する。一人は娘を殺された父親、もう一人はその捜査を指揮する刑事、そして残る一人は、その事件の容疑者 ――― クリント・イーストウッドが監督を務めており、どこかで微妙にズレが生じて淋しく歪んでしまった人間模様を描いている。

話の主軸となる殺人事件の容疑者をティム・ロビンスが演じている。彼はいつも190cmほどもある長身を生かした演技をしていて(と、少なくともアタシはそう感じる)、スクッとまっすぐに伸びたそのたたずまいは、『ショーシャンクの空に』や『ザ・プレイヤー』では、彼が演じるキャラに確固とした自信を注ぎ込んでいた。また、『さよならゲーム』などでは、ちょっとやんちゃな雰囲気がええカンジで醸し出されていた。

しかし今回は、だ。その長身をいつもとは違った戦法で扱う事によって「人生に疲れた中年オトコ」を見事に演じきっている。背中を丸め、伏せ目がちにトボトボと歩く彼の後ろ姿は、これまでのティム・ロビンスとは全然違っていた。すげー、すげーぞこのヒト!! としか言いようがない。さすがオスカー助演男優賞ゲット作品である。ショーン・ペンはいつもどおりの体当たり演技だったので、特に目新しい発見はなかったが(←目新しくなくてもオスカー主演男優賞・笑)、あのティム・ロビンスの変わり様はかなり衝撃的だったっす。そしてケビン・ベーコン....アンタも立派にならはりましたなぁ(しみじみ)

オマケだが、イーストウッドは音楽にも結構うるさいヒト。なので、劇中でかかってるスコアもなかなかよろしくてよ。








『Kill Bill vol.1』(『キル・ビル』)

ボスとして仕えていたビルの差し金によって瀕死の目を負わされた「ザ・ブライド」の復讐映画。

賛否両論あると思うけど、アタシは目に入れても痛くないぐらい気に入った(笑) 何がって言われても困るけど、全てがおかしいぢゃん!! ユマ・サーマンやルーシー・リュウのへんてこな日本語を聞くだけでも価値大アリってもんです。そもそもこの映画コラムのタイトルは、ユマ演じる「ザ・ブライド」の『斬りたいネズミがいるからぁ〜』というセリフからいただいてきたものですから(←なーんや・苦笑)

とにかく、どこもかしこもオカシい。腕やクビを切り落として「ぶっしゅーーーーっっ!!!!」と血(←しかもペンキっぽいのがバレバレ。そこがまたいい)が噴き出るシーンなんて、観たのはいつ以来だろう?? おまけにツッコミどころも満載。日本刀が機内持ち込みOKな沖縄エアー、顔じゅう血だらけな母親を見て不思議がらない娘、イジョーなほどテンションの高いソニー千葉(爆笑)、そして極めつけは五臓六腑に染み渡る梶芽衣子の『恨み節』!! これを観ずして何を楽しむ!?

この映画はとにかく「サメたもん負け」である。マジメなツッコミを入れると面白くもなんともないので、自らアホになる事が重要です。この勢いで『vol.2』も「やっちまいなぁ〜〜〜!!!!」







『Austin Powers in Goldmember』(『オースティン・パワーズ:ゴールドメンバー)

あまりのバカバカしさに、ストーリー忘れちまった....(核爆) バカバカしいって言っても、アタシには結構「ぷぷっ」的な面白さがあったけどね。アタシもちょっとそのセリフ使ってみちゃおっかなあ、みたいなカンジ(イエーイ、ベイビー、イエーイ!!!!) ヘンなオランダ人出てくるし、字幕ワザでも笑わせるし(←これ、かなりウケた)、プロットはフツーだったけど、小ネタな部分でかなり楽しんじゃいました。

このシリーズの見どころは、なんと言っても数多くの映画パロディ&トップ・スターのカメオ出演。特にこの作品は、開始後わずか5分間で、ものすごーい数のパロディ&トップスターの大放出状態に陥っちゃってます。だって、とっぱなからT.C.さん(♂)、G.P.さん(♀)、B.S.さん(♀)etc....が、後ろに列ができてますよってぐらい順番に出てくるんだもん。

アタシが超笑ったのは、ミニ・ミーとオースティンの「影パフォーマンス」 詳しくは書かないけど、これってかなりスゴいっす。隣りで観てたうちのおかあちゃんもヒーヒー言うて笑ってました。がっはっはっ!!!








『The Lord of the Rings』(『ロード・オブ・ザ・リング)

今さら説明するまでもないだろう。絶大なパワーを持つ指輪をめぐった善と悪の対決バナシの一作目、である。

アタシはこれを今月まで一度も観た事がなかった。と言うのも、原作にチャレンジした際、文章のあまりのダルさに、全9巻のうち6巻目でサジを投げてしまったからである。文体がマズいのか、はたまたアタシの読解力が乏しいのか、読んでいてミョーにつっかえるのだ。そういったトラウマめいた出来事もあって、どうしても観る気になれなかったのだが、先日の地上波放送を機に、思い切って観てみる事にした。


....が、しかし.......


すみません、最後の10分を残して力尽き、眠ってしまいました(爆) と言っても、このへんのハナシは本を読んで知っているので大丈夫なんですけどね。

上映時間3時間以上って、やっぱ長いだろ!! 映画館の窮屈な座席に座ったまま、人間の集中力がぶっ続けで3時間も持つとホンキで思ってるのか、ピーター・ジャクソン。『ベン・ハー』や『風と共に去りぬ』みたく、インターミッション入れた方がいいんじゃないかと思うのはアタシだけか?? あんな長さじゃトイレが近い人は絶対に大変だっつの!! ちなみに最終章『王の帰還』の上映時間は3時間20分とか....観るなら絶対に家だな(苦笑)

でも、本を読んでいた&吹き替え版で観たおかげで、けっこう簡単に理解できました。オスカー・ノミネーション作品なので、続きも観る事になりそうだけど、オスカー絡みじゃなかったら絶対に観てないと思う。そもそもアタシ、『ロード〜』や『ハリポタ』などのファンタジー系は好みではないのだ。








『The Last Samurai』(『ラスト・サムライ』)

時は明治。文明開化を目指す日本のお目付け役として派遣されたアメリカ軍人が、日本のサムライ魂に魅せられていくお話。

実はアタシ、完全にバカにしつつ観に行ったんです。「けっ、どーせ外国人から見た日本なんてウソだらけに決まってる」と。『ライジング・サン』にしろ、『パール・ハーバー』にしろ、そりゃあヒドいもんだったしね(『キル・ビル』は次元が違うので置いといて) しかも主演はトム・クルーズ。「アヤツめ、また『オレオレ』な映画作りおってからに」と、密かに悪態つきまくり。どれだけバカにしてやろうかと、少々斜に構えた状態で観始めたのだが....申し訳ございません、トム様&エドワード・ズウィック様。アタシ、心を入れ替えました(笑)

結構うまくできるぢゃん!! 真田広之が徹底的に小道具や衣装の扱い方を指導したのが効を奏したのか、かなり高い精度で日本が描かれていたように思いました。サムライ魂。。。。そりゃオールグレン大尉じゃなくても魅せられますわな!! 誇り高く、己に厳しく、そして寛大。まさに今の日本人が(アタシだけか?)スッパリと忘れちまったもんじゃござんせんか。戦の最後でゾロゾロと頭垂れちゃったのが残念だった(←あのシーン、映像的になんとなく共感しづらかった)んだけど、あとはなかなか面白かったです。2時間半という少々長めの上映時間の割には全然ヒマしなかったし。

個人的には、オールグレン大尉の監視役を演じていた福本清三さんがとても良かったと思う。44年間に渡る俳優生活において「斬られ続けて2万回」という、斬られ役の第一人者だそうだ。セリフはないのだが、スクリーン上の彼からはまさに「サムライ魂」を感じさせる何かを見たような気がした。アタシとしては、彼に助演男優賞あげたいぐらいなんだけどね(笑)

自分を律するのにちょうどいいキッカケを作ってくれる作品でしょう。ぜひご覧あれ。久々、ストレートにジーンときた一本であります。






『Bowling for Columbine』(『ボウリング・フォー・コロンバイン』)

2003年のアカデミー賞・長編ドキュメンタリー部門の受賞作品。受賞のサンクス・スピーチで監督のマイケル・ムーアが「Shame on you, Bush!!!」と吠え狂ったのを記憶している方も多いだろう。1999年にアメリカはコロラド州、コロンバイン高校で起きた銃乱射事件を始めとした、銃に関するドキュメンタリー映画である。

このマイケル・ムーア監督、見た目によらず(←失礼)骨のある人物である。「アメリカは銃に蝕まれている」という自らのメッセージを強烈に伝えており、やり方はともかく、社会に対する警告を非常に効果的に発している。また、アメリカとカナダとの銃犯罪発生率の大きな違いも興味深い。アメリカと同じく、カナダにおける銃所有率も極めて高いのだが、なぜか銃犯罪発生率はイジョーなほど低いのだ。「最後に起こった銃犯罪って、いつだったっけなあ....」と、警官も遠い目をして記憶を手繰り寄せるほどである。

なかなか面白い作品である上に、『ベン・ハー』で一世を風靡したチャールトン・ヘストンが大嫌いになること間違いなし(ニヤ)なので、興味のある方は必見、である。