May.2004








『About A Boy』(『アバウト・ア・ボーイ』)

自殺願望持ちのウツ病な母親を心配した息子が「ママにボーイフレンドを見つけてやろう」と大奮闘。白羽の矢が立ったのは「人生お気楽が一番」がモットーのドアホ男だった。。。。ヒュー・グラントお得意の超ゆるゆるコメディ。

マーカス(自殺したがりな母親の息子)を演じていたニコラス・ホルト君が、ミョーにカワいかったっす。ピュアなカワいさというよりも、なんかズレててカワイイ(笑) 小学生なのに、なんで口ずさむ歌がカーペンターズの『雨の日と月曜日は』なワケ?(爆笑) しかもこれがまたウマいのよねぇ。

ヒュー・グラント、なんでこうも同じようなタイプの役しか演じないんだろう? 頼りなさそーなナヨナヨ系オトコの役ばっかり。もう完全にユルんじゃってるような気が....ま、あの甘ーいクイーンズ・イングリッシュの響きがまあまあ好きなので、別にいいかなとも思うけど(笑)







『Cold Mountain』(『コールド・マウンテン』)

時はアメリカ南北戦争時代。戦争によって引き裂かれたオトコとオンナのラブ・ストーリー。

ジュード・ロウとニコール・キッドマンを主演に持ってくるのは犯罪だろぉ!!!!(笑) こんな美男美女をキャスティングされたら、ツッコミも何もできんじゃないか。あんなべっぴんさんが「アナタの帰りを待ってるわ」なんて言えば、そりゃあ娼婦やらカワイイ娘さんやら、戦争で疲れ果てた身に忍び寄る多々の誘惑にも勝てるって(笑)


それよりも、この映画での一番の見どころは、やっぱりレネー・ゼルヴィガーでしょ。たくましい大地のオンナをステキに演じてました。スクリーンに登場してものの5分ほどしか経たないうちに、澄ました顔して○○を××しちゃうのはかなり衝撃的でしたねぇ。ニワトリちゃんも「キュッ」ってカンジでしょ(笑) それにあの見事な南部訛り!!! 「maul」(木製の大トンカチ)を「イェーム、エイ、ユー、エーーーール!!!!」と大声でスペルアウトする時は、「うっひゃー、さすがレネー。芸こまかっ!!」と、ヘンなトコで思わず感動してしまいました。

あと、この映画では「あれ、こんな人がこんなトコに!!」というキャスティングにもご注目。キッドマンの父親役にドナルド・サザーランド、貧しい村の娘役にナタリー・ポートマン(←クィーン・アミダラと言えば通じるでしょうか?)、某うさんクサい男役(笑)にジョバンニ・リビージなどなど、結構細かなトコにまでスゴい俳優さんを配置しちゃってます。恐るべし監督、アンソニー・ミンゲラ....。

ちなみにキッドマンの父親役、ドナルド・サザーランドは『ミニミニ大作戦』でシャーリズ・セロンの父親役を演じてました。曰く「美人の娘を持つ親の役はとても楽しいよ」だとか。そりゃそうだろうね(笑)







『School of Rock』(『スクール・オブ・ロック』)

生活費に困ったロック野郎が学校の講師になりすまし、生徒に「ろけんろーる♪」を教えちゃうドタバタコメディ。ゴスペル人気の火付け役となった『天使にラブソングを』の小学生ロック・バージョンとも言える。

これ、なかなかいいっすよ。お・す・す・め、であります。単純だけど面白い。曲もいいし、キャスティングもなかなか。ジョーン・キューザックを小学校の校長役に持ってくるトコがイケてますわー。あとはもちろん主演のジャック・ブラック!! 彼にしかできなさそうってぐらいのハマリ役でした。『愛しのローズマリー』にしてもそうだけど、彼って作品選びがうまいなあと思います。(ちなみに『愛しのローズマリー』もアタシは好きです。ちょっとビミョーな作品なんだけどね)見た目も生活も生き方もすっげーだらしないけど、心根が優しくて、なんか憎めない。そのへんをうまく演じられる人。そういう俳優って、あんまりいないもんね。

子役達もいい味出してます。こましゃくれてんだけど、カワイイのよねぇ。特にローディ(機材運び)役からバックコーラスに転身(!?)したコ、すごく純真ないい感じでした。

この先生って、基本的にめちゃ自己チューなんだけど、意外と人の事も考えてんのよね。全生徒にちゃんと役割(←グルーピー役まで準備してる・爆笑)を与えて「おまえがいないとステージは成り立たん!!!」とか言って、生徒達を励ましちゃったりしてるし。めちゃ内気な人間にとっては、彼はいい指南役なのではないでしょうか....ちょっと過激かもしんないけど(笑)








『The Royal Tenenbaums』(『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』)

幼い子供達に愛情を注がず、自分をセンター・オブ・ユニバースと思い込んで生きてきたオヤジ。その暴若無人なふるまいが災いして一家は崩壊。そんな冷め冷めな家族を再び一つにしようとするオヤジの策略とは?

なんかミョーにつまんなかったのはアタシだけか!? ひたすら生暖かく、アタシにとってはあまり居心地のいいテンションではなかったので、字幕を頼りにDVD早回しで見てしまった(爆) ただし、キャスティングはスゴかった。自己チューなオヤジにはジーン・ハックマン。その奥さん役がアンジェリカ・ヒューストン。その子供達にグウィネス・パルトロー、ベン・スティラー、ルーク・ウィルソン。友人役にオーウェン・ウィルソン(ちなみに、ルークとオーウェンは実の兄弟である。全然似てないけど)、執事役にダニー・グローバー、グウィネスのダンナ役がビル・マーレーなどなど、よーこんなに集めたなあと感心するぐらい怱々たる顔ぶれ。オマケにナレーションはアレック・ボールドウィン。きっと、この映画の制作費の8割以上は人件費(それもキャストに支払われるギャラ)に充てられるに違いない。

なのに、なぜあんなに盛り上がらないのかが不思議。。。。まあ家族全員が盛り上がらない性格の持ち主だから(笑)、彼らなりに盛り上がってるんだろうなってカンジか?覚えてる事と言えば、グウィネスの指が木だった事ぐらいだ(そりゃ早回しで見たら面白くもなんともあらへんやろ自分)








『The Queen of the Damned』(『クイーン・オブ・ヴァンパイア』)

ズバリ、吸血鬼たちの下克上物語(笑)

ひたすら細部にしか目が行かないという、ヒジョーに不思議な映画だった。ヴァンパイア&ヘビメタがこんなにグレイトな取り合わせだったとは!! 一般的にはクラシカルなイメージだから、すごく新鮮なカンジ。逆にエロティックよねぇ。そんでもって、あとは主役(=レスタト役)のスチュワート・タウンゼント!! 腹筋がカッコいいわぁ♪とか、見事な大円筋(←背中にある筋肉です)だわねぇ♪とか、色白ねえ、とか、ヘビメタ系によくあるコスチューム(←裸の上半身に黒メッシュのお召しモノ)がこれまたよく似合ってるわぁ、とか、んなトコばっかに意識がいっちまったアタシ(アホか) しかし何よりも印象強かったポイントと言えば、「彼って、エンリケ・イグレシアスにソックリ!!!!」って事だった(笑)

....なので、全体的に結局どうなんだとツッコまれても、ちょっと困るんだな(苦笑)








『John Q』(『ジョンQ・最後の決断』)

重病の我が子に残された、たった1つの道は心臓移植。理不尽な医療・保険制度にブッちぎれたデンゼル・ワシントンが病院ジャックをカマす衝撃作。蛇足だがタイトルの「Q」は、ジョンのミドルネームである「Quincy(クインシー)」のイニシャル。

心臓移植待機リストへの登録代:約800万円、心臓移植の手術台:約7,500万円、現金払い、保険不適用....こんなの誰が払えるかっつの!!!! 不景気で会社からは労働を週20時間に減らされ、加入していた保険も知らない間に変えられ、おかげで保険がカバーしてくれる限度額も大幅ダウン。病院は病院で利益優先主義で融通なんて全然利かないし、そりゃー善人役者(!?)デンゼル・ワシントンもキレちゃうって。

しかもあの最後のどんでん返し!!! このオチのおかげで一気にテンション下がっちゃったわよアタシ(激怒)
ここからは超ネタバレにつき、自己責任のもとでご覧下さい。ドラッグすると文字が現れます→→→ 我が子を救うためにデンゼルが「オレは今からここで自殺する。オレの心臓を息子にやってくれ!!」とわめきちらして銃を口に構えた。「わー、どうなるの!?」と、ここまでは超いいカンジの緊迫感。でも実はその頃、とある所で交通事故による死亡者一人が病院に担ぎ込まれていた。死亡者の血液型は、息子と同じBポジティブ。。。。。同じタイミングでこんなにタイミング良く交通事故が起きるなんて、絶対にあり得ない!!! しかも「Bポジティブは珍しい血液型なんだ!!」とか言ってた割には、こんなに易々とドナーが現れちゃうなんて。こんな安っぽい展開、誰が考えたんだ!? 思わず「まぢでーーーー!?!?」と、テレビに向かって舌打ちしてしまいました。カンベンならねえ!! あのままデンゼルの心臓が息子に、ってオチで終わらせた方が、アタシとしては納得のいくオチだったのになあ。←←←ここまでネタバレ区域です。

結局、被害を被るのって一般労働者なんだなあっていう事をイタいほど見せつけられたワケなんだけど、個人的には非常に複雑な気分で見終えた作品だったです、はい。世の中の理不尽さって面では、とてもウマく描けてると思う。でも、だからと言って病院ジャックすりゃー事は解決するのか?ってトコロもある。映画なんだから現実離れしたプロットでもいいんだけど、果たしてこれが現実の事として起こってしまった時、一般ピーポー達や人質として扱われてた人達が、映画と同じようにここまで同情してくれるのかなぁ、とも思ったりする。十分に同情できる要素は揃ってるんだけど、急病で病院に担ぎ込まれた人達にしてみれば、迷惑な事には変わりないんだし。難しい話だなあ。

とにかく医療費の高さが異様なほど目につく映画だった。けれど考えようによっては、命の価値を無理やり換算すればこれぐらい高いって事なのかも。