Feb, Mar, and Apr, 2005








『The Terminal』(『ターミナル』)

ニューヨーク行きの飛行機に乗ってる間に、祖国でクーデターが起こり、事実上の祖国消滅。アメリカへの入国も、祖国への帰国もできなくなってしまった『無国籍人』ビクターの、9ヶ月に渡る空港生活ストーリー。トム・ハンクス&スティーブン・スピルバーグがタッグを組んだメジャー作品。

うーん.....発想は面白いワケ。ハンクスの演技も、脇役陣の演技も、空港のセットも素晴らしいんですわ。ギャグもイケてるし、「へー」な仕掛けもまずまず。なのに....なんなの、自分の中で気持ちよく消化できないこのオチは?「あら、上映時間が長くなっちゃったわ。仕方ないからオチはこんなカンジにしとこっかな」とでも言うのか、無理やり押し込んで出来上がり、みたいな印象を受けました。あれじゃ、せっかく出演してるキャサリン・ゼタ・ジョーンズも存在価値ナシぢゃん。アメリア(=ゼタ・ジョーンズ)の一連の行動だけでなく、入国管理係のトーレス(=ゾーイ・サルダナ)がなんで○○(←伏せときます)を決意するのかも、まったく理解不能。彼女たちのココロの動きがチョー大雑把にしか描かれてないから、最後のオチで「あり得ねーっつの!!」って、ちょっと興ざめ。スピルバーグって、もしや女心がわかってない人?(苦笑)

ビクター(=ハンクス)がNYにやってきた理由もそうだし、なーんか全体的に説得力が弱いんすよね。最近どうしたスピルバーグ、微妙に歯切れが悪いぞ。

アタシとしてはプロットに共感を持てなかったけど、その代わり演技は楽しめました。ハンクスすごいね。すっかり東欧の人に化けちゃってたし!! 見知らぬ土地でサバイバルするのは『キャスト・アウェイ』と同じだけど、今回の漂流地は無人島ではなく、モノが溢れ返ってる空港。そのギャップも面白かったし、必死になってる姿がすごくおかしかった。見どころはズバリ、キャスト達の演技です。








『My Big Fat Greek Wedding』
(『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』)


ギリシャの血を引く人と結婚する事になった時は、この映画を参考にするといいでしょう。ズバリ、ギリシャ人との結婚準備マニュアル(←すごい言い方)

ギリシャ人は食べたり騒いだりするのが好きって言うけど、ホンマやわ(笑)映画として取り上げる以上、かなりデフォルメしてる部分もあるんだろうけど、基本的にはこういうカンジなんだわ多分。あんまり深く考えずにサラッと観れるお手軽な作品なんだけど、アタシにとっては若干うるさすぎ。みんながワーワー言いっぱなしのまま「あれ、終わっちゃった」ってカンジだったし(苦笑)もし自分が実際にギリシャ家族(もしくは結婚相手の家族)の一員だったなら、きっと賑やかで楽しいんだろうけど、なんか結婚話で大騒ぎしてるギリシャ家族から取り残されたみたいな気分になっちゃいました。

唯一笑えたのは、結婚式での誓いの言葉のシーンで、結婚相手(アメリカ人)の家族がボソッとつぶやきあった会話。

(全てギリシャ語で誓いの言葉が行われているのを聞きながら)
新郎の母「なんて言ってるの?」
新郎の父「ギリシャ語だよ」

新郎の父はここで「It’s all Greek」と言うのですが、「It’s all Greek to me」は「まったくわからん」という意味でも使われるので、おそらくその二つを意味をひっかけたものなんでしょう。なんかクスッてカンジでした。

素朴な疑問なんだけど、なんで邦題は『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』なん?なぜこの映画のキーワードとも言える『グリーク』(←「ギリシャの」とか「ギリシャ人の」って意味です)を抜かしたワケ?よーわからんなぁ....。









『Sidewalks of New York』
(『サイドウォーク・オブ・ニューヨーク』)


ナンパ、不倫、結婚、離婚、出会いと別れ、などなど、ニューヨークを舞台に男女が織り成す愛のカタチ。

うっわー、なーんて「ありがち」!!!!!(苦笑) なんか多いですよねー、このテの映画。わずかーな起承転結を底辺に敷いたドキュメンタリータッチの恋愛実況中継映画。しかも舞台は絶対と言ってもいいかもしれないほどニューヨーク。でも、確かに恋愛映画はニューヨークが一番よく似合うのかもしれません。ロスだと天気が陽気すぎるし、シカゴだとややダーク過ぎ(←でもシカゴってブルースの街だから渋くていいかも、と、個人的には思う)だしね。

ハナシ自体は....まあいーんじゃないでしょうか。メリハリ好きな人には物足りないかもしれないけど、このテの作品にメリハリを期待する方が筋違いだと思う(笑) この作品は一つのカップルに焦点を当てるのではなく、数カップルが登場するアンサンブル形式なのですが、各カップルのハナシともいい味付けを持ってたんじゃないかなと。ブリタニー・マーフィ、クシャクシャっとしたカンジがカワイイですね♪ ちょっと身持ちの悪い大学生役だったんですが、彼女が演じるとそんなにイヤミがない。メグ・ライアンがラブコメ女王の座を返上してしまった今、後を埋められるのはこのブリタニーか、もしくは後述するケイト・ハドソンではないかと、なんとなくそう思っちゃったりして。

特にどこかのシーンで盛り上がるとか、感動するとか、そういったメリハリは一切ないので、ダラッと観るのがオススメです。









『How to Lose a Guy in 10 days』
(『10日間で男を上手にフル方法』)


雑誌のライター、アンディの次なる企画は「どうやったら10日間でオトコにフラれるか」 それを実験すべく、彼女がターゲットに選んだのは「10日間でオンナをモノにしたら仕事を回してやる」とボスから宣告されていた広告マンのベン。どっちが勝つのか、この勝負?

先がスンナリ読める(^^;)超ライトなロマンティック・コメディです。キャスティングはいいと思うけど、ハナシの展開スピードがちょっとモッサリしてるかも。恋愛のHow to ものっていう、すごく身近なモノを題材として扱ってるので、親近感は持てるけど盛り上がりに欠けると言うか。そういったお手軽な材料で2時間もたせようと思ったら、どうしてもこういうスピードになっちゃうのかなあ。でも、これだけワガママなオンナ、アタシだったら10日どころか5日もちませーん(痛) 「このソーダ、クラシックだからイヤ。ダイエットに替えて来て♪」とか言われた日にゃー「テメーで替えて来い!!!」と罵倒しまくるコト間違いナシです(笑)

アンディ役のケイト・ハドソン、スゴくかわいかったです。コミカル演技もイケるってのは、やっぱり母親(ゴールディ・ホーン)譲りでしょうか。こういう健康的なキャラの女優さんってのも、ハリウッドには貴重な存在なんじゃないかと思いますねー。あと、ベンを焚きつけるオンナの人の役で、『ER』のマイケル・ミシェルが出演していました。白衣だろーが黒ドレスだろーが、キレイな人って何を着てもステキだわね(笑)









『28 Days Later...』(『28日後...』)

感染力超ド級のゾンビ・ウィルスにやられて崩壊したイギリスを舞台に、@ウィルスに感染しちゃった組A感染から免れた組B感染免れ組を保護するために働く英国軍隊組、の3チームに分かれて戦う運動会映画(爆)

とにかく全編とおしてエグかったです(泣) とりあえず「乗りかけた船」の勢いで最後まで観ましたが、グロものが苦手って人にはかなりキツイかも(>_<)ゾンビさんがワラワラ出てくる点では『バイオ・ハザード』と似たようなモンだけど、ソンビさんの動きが『バイオ〜』と比べるとヒジョーに軽やか(!?)って言うか機敏? スゴいよー。きっとアタシ、50m走したら負けるかも(笑)

しかしイギリスの映画って、こーゆーエグいのが多いねー(アタシの気のせい?) 中途半端じゃなく、トコトンやるじゃない? 「えー、そこまで見せなくても!!」ってツッコミ入れたくなるぐらい、エグい描写に関しては容赦ナシ。イギリスって、紳士淑女の国じゃなかったの?









『The Purple Rose of Cairo』(『カイロの紫のバラ』)

映画好きなオンナが、映画から現実の世界に抜け出してきたオトコに連れ去られるオハナシ(?)

ウッディ・アレン作品の必須女優ミア・ファローが、この映画でも主役を演じてます。折りしも世界は不況。職が見つからない(見つける気のない?)ダンナの代わりにウェイトレスとして家計を切り盛り。そんなキツい日常生活に対するささやかな抵抗として、映画の世界に逃げ込む彼女の気持ち、すごくよく分かるなぁ。やってられねーよ!! ってカンジ(笑)

そんな中、彼女が鑑賞中の映画の中で「もう映画の世界はヤだ!!」と、突然ダダをこね出し、スクリーンから抜け出してくるオトコ。フツーなら、この後の二人がどう動くか、というトコだけに焦点が当たるけど、この映画では、スクリーンにとり残されてしまったキャスト達についても描かれていて、そのへんが結構面白かったかなあ。「あいつが出て行ったらハナシが進まないじゃないか!!」とか、セリフにない言葉を喋りだしたりして(笑) そういった一面を描いた映画って、これまで観た事がなかったので、なんか新鮮なカンジでした。

一応はコメディ路線。けど最後は切ないと言うか。ウッディ・アレンのハリウッドに対する考えがチロチロと見えたりといった辛口な部分もアリで。現実世界で生きていくのに必要なものは、ほんの少しのファンタジーかな、と、見ながらそんな事を考えていたアタシだったのでした。









『Shall We Dance?』(『シャル・ウィ・ダンス?』)

ふとした事がキッカケでボールルーム・ダンスの世界へ飛び込んむハメになったミドル・エイジな男性と、彼を取り巻くヒト達との人生劇場。役所広司、草刈民代、竹中直人などが出演した周防作品『シャルウィダンス?』をハリウッド好みに料理したスタイリッシュ・リメイク版(笑)

アタシのココロは疲労で枯れているのでしょうか....ダンス選手権のシーンで、なんかすっごい感動泣きしちゃったんですけどぉぉぉぉ!!!!! 『ダンスシーンで世界が涙した』とかってパンフレットに書いてあったけど、見事にその一人となってしまったワケだな、アタシってば(笑)

アタシ、日本のオリジナルバージョンを観た事がないので、特にオリジナルだのリメイクだのっていう感覚にとらわれる事なく観終えたんですけど....いーんじゃないの?あんなカンジで。観ようによっては、『家族の絆』ってテーマが前に出しゃばり過ぎてるような気がしないでもないけど、ヘンにハナシをこねくり回すワケでもなく、全てが素直に描かれてるので、アタシは比較的スッキリ観れましたです、ハイ。竹中直人の役を引き受けたスタンリー・トゥッチ、やってくれたな!!ってカンジ(激拍手!!) めっちゃハマってましたよぉ。彼だけでも一見の価値アリかも♪

リチャード・ギアが演じるMr.クラークは、徐々にダンスにハマっていくワケなんだけど、好きなモノに打ち込む彼の姿を見ていると、まるで自分みたいだなって思えてきました。レッスン・スタジオが近づくと、「もうすぐレッスンだ♪」って、すごくココロがウキウキして、スタジオへ向かう足のスピードもチョコッと速くなるMr.クラーク。でもって、レッスンが終わったら、ココロがホッコリして、ステップ踏みながら帰っちゃったりする。すっごくよくわかるの、この気持ち!! 「楽しいよねブラザー、めっちゃよーわかるでぇ。アタシもサックスやる時そんなカンジやもん。好きなコトやってると顔もニンマリするよな!!」って、もう共感度200%もいいトコ(笑)

それと同時に、そうやって無邪気にダンスを楽しむオトコ達を見つめるダンス講師達の気持ちもすごく理解できる。エアロビクスを始めてだんだん音楽にノレるようになってきたヒトって、ちょうどMr.クラークみたいにいい表情してるんですよねー。「いい汗かけましたー!! ちょっと動けるようになってきましたよ♪」って、嬉しそうに語るメンバーさんを見ていると、純粋にエアロが好きで好きで仕方なかった時の自分を思い出すもん。そうやって純粋に楽しんでる人達から、逆に元気もらえたりするんですよね。多分、ジェニファー・ロペス演じるポリーナも、Mr.クラークの姿を通じて、自分自身の中にある「ダンスを純粋に愛するココロ」を見つける事ができたんじゃないかなと思います。