[0.R点(レーティングポイント)についての基礎知識]

 

 R(レーティング)システムとは、対戦型ゲームにおいてその能力を公平に

判定するために作られたシステムであり、勝敗結果によって決められた

「R点(レーティングポイント)」が能力を測る共通の尺度ということになっている。

 

 R点は次のような性質を持つと仮定される。

 ・ 基本格差 F

 ・ 配分率  D

 ・ 半格差  H(=F/2)

を定義したときに、

(1)R点の等しい相手に勝利する確率は50%である。

(2)R点がH(半格差)だけ高い相手に勝利する確率は25%である。

(3)A氏とB氏の勝敗比(確率比でも同じ)が x,

   B氏とC氏の勝敗比が         y 

   であるとき、

   A氏とC氏の勝敗比は xy である。

 

実は(1)〜(3)によりすべてのR点差による勝利確率が判明する。

 勝利確率 z は

   z=1/[1+{9^(±ΔR/F)}]

となる(ウィキペディアでは9の所が10となっているが、恐らく勘違い)。

確かめてみよう。

@ ΔR=0のときは当然 z=1/2 となる。

 A ΔR=Hのときは z=1/4 となるので25%となり、

仮定通りである。

 B ΔR=Fのときは z=1/10 となるので10%となる。

   (意外に驚かれる方が多い?)

 

 実際の勝敗結果に応じてR点は修正される。このとき配分される点

に勝利確率を掛けた値が符号以外等しくなるようにしなければならない。

 修正点をΔrとすると、勝った側の加算点は

   Δr=2DF×(ΣW−Σz)

である。ここでΣWは勝ち数の合計である。

 F=400,D=4%で1試合ごとにR点を更新する場合、R点が200

上回る相手に勝ったとすると

   Δr=32×(1−0.25)=24

となる。敗れた側は同じだけのR点を失う。

 対局を重ねるにつれ、R点は勝利確率50%となる値に近づいていくこと

が期待される(が、実はすんなり期待通りとはならない)。

 

 ところで、R点の計算には、本来は勝利確率zを使うべきなのだが、

指数を含むために若干面倒であるため、手計算で簡単に算出できる次の式

を使用しているところが多い(「将棋倶楽部24」もその一つ)。

   Δr=DF×{1+(ΔR/F)} … @

(但しΔr<1のときは1,

Δr>2DF−1のときは2DF−1で置き換える)

 上式は、勝利確率zの替わりに、近似確率z’を

   z’=(1/2)±{(1/2)×(−ΔR/F)}

で定義したものである。この式より逆に、R点が不明な者のR点を、対戦結果

から以下の式により推定することができる。

   R=r+2F×(W−0.5)

 ここでrは対戦相手のR点の平均値、Wは勝率であるが、この推定式は

0.2<W<0.8のときは使用するべきではない。

 

 @の式は、|ΔR|<0.6Fと|ΔR|>1.5Fでは元の式の良い近似と

なっている。しかし、0.6F|ΔR|≦1.5Fでは元の式と差がある。

このため、この式はかなり注意して使用する必要があるのだが・・・

 

 

[1.につづく]

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