2002年6月19日(水)〜7月1日(月)








無限の空間へ
 深い山に入り険しい山道を登りつめて峠に立つと、異なる地方の開けた風景が、目に飛び込んで来る。今まで登って来たこちらの空気と異なる世界の匂いと、体感したことの無い混沌とした新鮮さを感ずることがある。
 重ね塗りの暗緑色は、幾何学的分割による領域により、こちらとあちらの気配が棚引き、黒と有彩色の香りを漂わせはじめる。それは羽化した“くさのむし”のための無限のコスモティックな空間となる。
(中野武夫)
ぎりぎりの美しさ
 探しても、作品がない。あるのは黒塗りの額のように見える枠だけで、作品があるべき場所には何もない。かと思えば、黒い平面に細い線しかない。余分なものを可能な限りそぎ落としたぎりぎりの美しさは、穏やかで深く、そして恐ろしい。作品の前を通り過ぎたとき、思わず肩越しに振り返りたくなる不思議さに、私は驚く。静かな牽引力というものを実感する作品群である。
 関東を中心に活動する中野武夫氏、岡山初の個展。
(長尾邦加)


中野武夫略歴 川越市生まれ 日本大学芸術学部美術学科卒

【個展】
1973 村松画廊・銀座
1975 ガレリアグラフィカ・銀座
1980 銀座絵画館・銀座
1984 川越画廊・川越
1988 川越画廊・川越
1999 ギャラリー砂翁・日本橋
2001 マキイ マサル
   ファインアーツ・新橋
【グループ展】
第8回ジャパンアートフェステバル/優秀賞
(リュブリアーナ美術館・マンハイム市立美術館)
第7回国際青年美術家展・美術出版社賞(西武デパート/池袋)
日本美術展「伝統と現代」(デュセルドルフ市立美術館/ドイツ)
第9回ジャパンアートフェステバル(モントリォール現代美術館)
JAF10周年記念展(高島屋/日本橋)
15人の平面展(神奈川県民ホールギャラリー)
第14回日本国際美術展(東京都美術館・京都美術館)
「白と黒」国際展(東京セントラル絵画館)
第28回現代日本美術展(東京都美術館)
第5回昭和シェル石油現代美術展(目黒区美術館区民ギャラリー)
Art into The Hospital(銀座医院/銀座)




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