2002年11月20(水)〜12月2日(月)


─古代吉備幻想─

2002年11月20日(水)〜12月2日(月)
AM10:00−PM6:00 火曜休廊 最終日は5時まで









千年の時間
備前焼のオブジェが約40点、白い空間一面に林立する。オブジェは一点一点それぞれに割れ、ねじれ、歪み、波を打って横たわる。日常ではない、息を飲む異空間である。
古来土の持つ器としての機能は捨て去られ、まさに現代アートの大胆さと新鮮さに満ちているが、決して備前の世界を大きく逸脱したものではない。なぜならその激しいねじれの中に、伊勢崎淳氏の手によって現代に呼びもどされた、古備前の静かな歪みが見えることがあるからだ。それは氏の創造力と絶妙の調和力そのものであり、同時に千年の時間を超える瞬間である。
備前焼のオブジェだけが並ぶ個展は、おそらく備前始まって以来の試みであり、備前焼の領域を大きく拡げた一つの事件でもある。見事な造形と計算しつくされた焼き、そして偶然の美までも引き寄せてしまう氏の作品の数々を、心ゆくまで楽しんでいただきたい。
(長尾邦加)