routine reason
「書かなきゃ生きてけないんだよねー」
スタバのキャラメルマキアート、ひとくち飲んで、しまった舌やけどした、なんて思っ
てたから、一瞬何の話かわからなかった。
「え?」
訊いてから、馬鹿な問いをしたと思ったけどもう遅い。
案の定、リョウは見下した目であたしを見て、何だったか忘れたけどフレーバーティー
をひとくち飲んでため息をついた。
「べっつに誰にメーワクかけてるワケでもないんだからいいじゃんよね。自称登山家が山
登るようなもんでしょ」
ミソジ間近で俗に言うフリーターみたいのやってて、時々小説みたいの書いて自費出版
って言ったらカッコイイけどよーするに後押ししてくれる出版社がないから街角で歌って
る少年みたいな感じで本出してて、そのお金稼ぐためにバイトしてるわけで。
そんなリョウのこと、ご両親は何にも言わないらしいけど(一応長男なのに思いっきり
一応だし)一応カノジョならしいあたしの両親がどう思ってるかなんて、リョウはどうで
もいいらしい。──ま、あたしもどうでもいいんだけどさ。
書かなきゃ生きてけない。
そんなこと、リョウの次にあたしが一番知ってる。
カイショがカケラもないどころかマイナスでもリョウじゃなきゃあたしはやだって思っ
てるのと同じくらいに。
「ねぇリョウ、あたしと結婚すんのとあたしと別れんのとどっちがいい?」
唐突に訊いたら、リョウはいきなり宇宙人にロシア語で話しかけられた人のような顔を
した。
「──ナニソレ。冗談?」
「うん、冗談」
くそーちょっとくらい狼狽しろよ。そう思いながらあたしはちょっとほっとする。ここ
で結婚するとか言うようなヤツならあたしはリョウのこと好きになってない。
この好きっていうのも非常に難しいカンジなんだけど。
何かをすることの理由を説明するのと、何かをしないことの理由を説明するのと、一体
どっちが簡単なんだろう。
「レイ、おまえなんで俺のこと好きなのって訊かれたらなんて答える?」
それは仕返しですかリョウくん。
一瞬詰まって、二瞬考えて、その手には乗らないぞ、とニヤッと笑った。
「面白いから」
世界一情けない顔で、ひでぇとリョウが呟いた。
「ウソ。──リョウじゃないとヤだから」
ある意味コレってダメオシだろうか。
リョウは鳩が豆鉄砲食らったような顔の見本になった。
「やられた。やっぱ俺おまえ好きだなー」
「面白いから?」
「うん、そう」
満足して飲んだキャラメルマキアートは、飲み頃の温度になっていた。
fin.
コメント(from 氷牙) 2001.12.2
ハッピーバースデーオレサマ(爆)
いや、別にそういうつもりではありませんが(苦笑)なんとなく、これからもお話書いていくぞ、と言う意気込みを込めて?
壁紙、わざとナシです。──いや、実は探す時間がっていうか気力がないっていうのもあるんですが(^^;)。シンプルにね。
ちょっと何となく尊敬かつ敵視しているらしい某小説家さんっぽい書き方を、意識してしてみたり。
もう12月ですね。そして、ノベル&ポエムコーナーお引っ越し後第1弾創作ということに。次の更新はいよいよ連載再開『メルーカ』です!!(こんなトコで言っても意味はあるのか……?)
まあ、なにはともあれ、これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m
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