ボクたちは親友!?

 ウワサの二人…深咲(みさき)と哲平(てっぺい)は、幼い頃からの大親友である。
非常に仲が良い、ただそれだけなのだが、幸か不幸か、二人の容貌の差ゆえ(?)に、ム
セキニンな噂は広まってしまうのであった――

「あ―、また深咲君と哲平君一緒だー♪あの二人本当仲良いよねー♪」
 きゃぴきゃぴっ、と騒ぎまくっている彼女等の視線の先には、いかにも男らしい、逞し
い体躯の少年(青年と呼ぶべきか?)と、これまたなんともかわいらしい栗色の髪の小柄
な少年とが連れだって歩いている。
 誤解なき様に言っておくが、このゴツイ男のほうが小野田深咲で、天使のような(と、
よく言われる)少年のほうが川村哲平、である。なにやら名前をトレードしたほうがしっ
くりいきそうではあるが、本人たちが決めたことではないし、実を言うと、セーカク面で
はこっちの名前のほうが絶対ふさわしかったりする。
 まぁ、周りの噂(と書いてオクソクと読む)はともかく、二人は、ただの・親友、で
あった。
 ――あのときまでは。

 いつだったかは覚えていない。哲平が家に泊りに来た時かも知れないし、あるいは着替
えの途中だったかも知れない。その時、深咲は、突然、本当に突然、哲平の裸を"意識"し
てしまった。思ってもみなかったことだ。シャレになんねえ……と心の中でボヤきつつ、
深咲は"何もないフリ"を装った。今までどおりにふるまえば、哲平に気づかれることはな
い、と。
 だがしかし。哲平だって、ダテに深咲の親友をやっているわけではないのだ。詳しいこ
とはわからなくても、深咲の態度がナンカよそよそしいことくらいはわかる。
「オレ、またなんかやったかなぁ……?」
 でも、なんとなく、"今までの"とは、少し違うようで。わからないのだ、深咲が何を考
えているのか。イライラは募り、よけいに二人はギクシャクしてしまう。
 
 先にキレたのは、やっぱり哲平だった。
 深咲の家に押しかけ、彼を問い詰める。
「深咲イ! 何か言いたいことあるなら言えよ!! おまえオレに何か隠してっだろ!?」
「何もないよ」
「ウソつけ。それならどうして目ぇそらすんだよ、オレの目見ろよ! なんでオレのコト
見ないんだよ!? ちゃんとオレを見ろよ!!」
「見てるよ!!」
 畳みかけるように怒鳴られ、深咲の中で糸が切れた。哲平の肩を掴んで叫び返した。
「見てたよ! いつも見てた、ずっと見つめてた。見つめ過ぎて視線の強さでおまえのカ
ラダに穴開けちまいそうなくらい、ずっと……」
 深咲の指が、キャシャな哲平の肩に食い込む。痛いだろうに、そんな顔ひとつせず哲平
は真剣な目で深咲を見つめていた。
「見てた、ずっと。――おれ、哲平が、好きなんだ」
 きょとん、という形容そのままに、哲平は目を軽く見開いている。沈黙が気まずくて深
咲が目をそらそうとした時、哲平が口を開いた。
「ナンだよソレ?」
 軽く唇をとがらせて。呆れたような口調。
「オレだっておまえ好きだよ。ずっとずっと前から」
 当たり前のことのように。
「オレも、おまえ見てたよ。いつも、ずっと。だってトクベツじゃん。やっぱり違うんだ、
他のヤツらとは。どんなに友達増えたって、やっぱりおまえが一番いい。おまえといる時
が、一番安心する」
 そして、ニッコリ。凶悪にカワイイ、罪つくりな天使の微笑み。
「やっぱりおまえは特別の親友だよ!」
 ――……なんでそうなるんだよ。
 思いっきり脱力してしまいながら、深咲は、しかしどこかで安堵している自分に気づく。
 胸のモヤモヤは、哲平の笑顔の前にアッサリ退散してしまったようだった。

 そして、数日後。
「見て見て。深咲君と哲平君だよ、やっぱいいなあ♪」
 相変わらず女の子達はムセキニンなおしゃべりを続けている。ところで、いつも深咲の
名前が先であることに二人は気づいているが、そのイミは知らない。もし彼等がその妄想
の内容を知ったら、哲平はもちろん、深咲も激怒するだろうことは、容易に推定される。
「あっれー、おまえらいつのまに仲直りしたん?」
「アッ、もしかして新しいカンケーを作り上げてしまったとか!?」
「おおおっついに!」
 などなどヤローどもの軽口も相変わらず。
「何だよソレ☆ オレら別にケンカなんかしてないよ、なあ深咲?」
 ――ケンカ……は、確かにしてないと思うケド。
 答えに困る深咲を他所に、
「川村さん、真相のホドは?」
「やはりお二人は交際しているのですかっ!?」
 ワイドショーごっこは続いている。
「あっのなァ……、おまえらいー加減にしろよな、ったく。ホンットもの好きなヤツらだ
ぜ」
 呆れかえる哲平の言い草に、ついつい苦笑をもらしてしまう深咲である。
「あああっ何だよその笑い!! おまえまたオレのことガキみてーとか思ったろっ!?」
「思ってない思ってない」
「ウソつけっ」
「ホントだって」
 柔らかいほっぺたを膨らませてプンスカ怒ってる哲平。それをなだめる深咲の姿は幼稚
園児をあやす保父さんそのもの(笑)。まったく、以前と同じ。
「――でもさ、オレ、深咲となら別に恋人でもいいぜ」
「え、えええっっ??」
 爆弾発言☆ クラスじゅうが(聞き耳立ててた)驚きの声をあげる中、哲平は一人ケラ
ケラと笑っている。
 何やら少し以前とは違っているようだ。
 それにしても、いつまでシンゾーがもつか、ちょっと不安な深咲クンであった。
                                 ちゃんちゃん♪

こめんと(byひろな)

これは・・・、いつ書いたっけカナ〜?当時は「氷牙」の名前で発表したけれど、 ホントは「ひろな」が書いた作品でした。そか、ひろなの『でびゅぅ作』じゃん☆
なんか・・・、楽しかったですね。うん。またこういうライトなものも書きたいですね♪




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