Brandnew Days


「おはようございます! オリヴィエ様」
 瑞々しい若木が朝露を弾くように、張りのある声がオリヴィエに呼びかける。豪奢な金の髪を揺らして振り返り、夢の守護聖オリヴィエはルージュを塗った唇を笑みの形に引き上げた。
「おはよ、ランディ。今日も元気だね〜」
「はい!」
 良い子の見本のような返事をしたのは風の守護聖ランディだ。イイコと言われて喜ぶ年齢はそろそろ卒業のはずだが、素直すぎるせいか時として年より幼く見えるこの少年を、オリヴィエを始め、他の守護聖達は弟のようにかわいがっている。
「オリヴィエ様、ご存じですか? もうすぐ新しい鋼の守護聖が来るらしいですよ」
 親しんだ仲間との別れは辛いが、それが守護聖として聖地に召された時からの定めだ。別れがある分、こうして新しい出会いもある。
「へぇ、そうなんだ。どんな子だろうね」
「俺と同じくらいの年って聞きましたけど。……楽しみですね!」
 瞳を輝かせるランディに、オリヴィエは密かに笑みをもらした。
「あんたもついに“お兄ちゃん”か〜」
「お兄ちゃん、って……」
 眉を寄せるランディの頭をぽんぽんと叩く。やわらかな髪の感触を楽しんで、オリヴィエは少し低い位置にある空色の瞳を覗き込んだ。
「仲良くなれるとイイね、その子と」
「──はい!」
 満面の笑みを浮かべてランディが返す。軽快な足音を立てて去っていく後ろ姿を見送って、オリヴィエは晴れ渡った空に目を向けた。
「──聖地もまた賑やかになるねぇ」
 それは、また新たな日々の始まりの朝の出来事だった。






こめんと(byひろな)  2009.01.20

はい、と〜〜ってもお久しぶりです(^^;)
そして書下ろしじゃなくてすみません。
このお話は、風夢同盟【Passion Wind】の宣伝チラシ用に書き下ろしたものでした。2002年9月15日ですって! うわぁ…。
風夢を大好き!な人はもちろん、まだ興味を持ってない人にも持ってもらおう、という趣旨だったので、『×』というより『&』なかんじです。そして何やら夢風ぽいです(笑)。なんか、若かりし頃(って今も若いけど)のランディを書くと、いっつも夢風ちっくになる……。

にしても、新しくやってくる鋼の守護聖(もちろんゼフェル)とは、結局仲良くなれたんだかなれてないんだか、な、ランディくんだったのでした☆(笑)


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